科研費は、研究者から提出された計画調書に記された研究計画に対して支払われる国の補助金です。
科研費計画調書の「本文」の中の「(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」の項目で具体的な年度ごとの研究計画を記載するのですが、ここでは「学術的問い」に対応していることを審査員に理解して頂けるようなクリアな文章で研究計画を記載します。
研究計画の具体的内容としては、フィールドワーク(フィールド調査)の実施計画を書くことになります。
フィールドワークとは、研究者自らが調査対象地を訪問して、観察、映像や音声の収録、当事者への聞き取り調査、アンケート調査、資料収集などを行う活動のことです。
立教大学の実松克義名誉教授は、「フィールドワーク ―人類学の方法論とその課題―」と題した論文の中で、フィールドワークについて次のように述べています。
実松さんが説明している通り、学問分野によって呼び方は様々ですが、研究者が現場に赴いて何らかの調査を行う点では共通しています。
実松さんは、フィールドワークの方法として、下記を列記しています。
(1)~(5)について、さらに次のように説明されます。
また、文学や歴史学などの分野では、あらゆる地域の図書館などに出向いて、資料を探し、必要に応じて、写真撮影などにより記録・収集します。この活動もフィールドワークの一形態と言えます。
話を科研費計画調書に戻しますと、研究計画の具体的内容としては、フィールドワーク(フィールド調査)の実施計画を書くのですが、科研費はこうした学術調査に対して補助金を与えるものです。
日本国内および海外に赴いて調査を行うには、多額のお金がかかりますので、そうした調査研究に対して国が研究者を支援する訳です。
基盤研究(C)では3年間の研究計画に対して補助金が交付されます。採択されるためには、「(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」において綿密なフィールドワークの計画を記す必要があります。
私の計画調書「『観光振興プロジェクトの地域連携パス』の開発と体系化」の「(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」では、次のように記載しています。
聞き取り調査のために、いくつかの地域を訪問し、地域の地域のSH(ステークホルダー)に話を聞くことになります。
私の上記の計画調書では、初年度の計画として、次のように記しました。
どのような調査を行うのかを簡潔ながらも具体的に説明します。
審査員に「この研究計画は投資に値する」と思って頂けるようなフィールドワークの計画をしっかり書くことが大切です。
審査員に、学術や社会の発展に意義があること、多額の費用がかかること、そして投資を実行するに値する研究計画であることを納得して頂くために、フィールドワークの計画をしっかりと記入することが採択のカギを握っていることを意識して計画調書を書くようにしましょう。