英文記事の意訳:「Web3.0起業家」がよくやる失敗4選 - Qiao Wang氏
(以下、Qiao Wang氏による英文ドキュメント「Common pitfalls for Web3 founders」の意訳です。ニュアンスが違うところが有るかもしれませんが、ご愛敬で。部分的にDeepL活用しています)
*Simply and frugally translated to Japanese: appreciation for Qiao if not denounce my egoistic contribution with much respect! :P
「Web3.0起業家」がよくやる失敗4選
イントロ
以下に、私の元に来る起業家たちの相談内容の、エッセンスを抜き出してみた。今回は4つのカテゴリに分けて紹介する;
PR、マーケティング
採用
コミュニティの運営管理
トークンエコノミー/トークノミクス
よくやる失敗①|PRやマーケティングに固執しすぎ
「マーケティングにこだわりすぎて、プロダクトへのこだわりが薄すぎる」
多くの起業家からの相談に対して抱く率直な感想は、これに尽きる。
起業家は「我々はプロダクト作りに優れていて、マーケティングには助けが必要」と考えているようだが、これは全く逆。ほとんどの起業家は、ユーザーに対する執着心が不十分なままだから失敗する。
「勝つのは、最高のプロダクトではない。最高のマーケティングが為されたプロダクトだ」という通説は、大企業なら当てはまるがスタートアップはそうじゃない。マーケティングを行うに値する素晴らしいプロダクトを作ってからの話だ。
(ちなみに、じゃあ結局、Web3領域でマーケティングをするにはどうしたらいいのか?という質問に対して言えること:以下のことに気を付けるべし)
マーケティングの会社を使わず、投資家の影響力を使ったりしながら自社で行うこと
コンテンツマーケティング(=価値ある情報発信をすることによる顧客育成・啓発)は、圧倒的にスケール可能な方法なのでオススメ
ポッドキャスターや大きなカンファレンスは、スタートアップはお呼びではないので難しい
資金調達のリリースは潜在顧客には響かない。採用には効く(でもやはり、良いプロダクトが無いところに就職したいとは思わないよね)
Twitterは、世間に顔を知ってほしいと思うならやっても良いが、大して重要な策ではない。やるなら企業ブランドだけではなく個人ブランドの確立を徹底的に。
Web3という領域に合ったマーケティング戦略は「トークン」。無料で配布するだけでなく、ユーザーがトークンを所有することが重要。正しく使うと効果覿面(詳細は④にて後述)
よくやる失敗②|組織拡大のタイミングが速すぎて早すぎる
初創業の起業家はメンバーを採用すると気分が良くなるが、それは単なる起業家のエゴに過ぎない(筆者注:言いすぎだろ)。すなわち、チームの規模は、虚栄心の指標とも言えよう(筆者注:いや言いすぎだろって)。
人が多ければ多いほどコミュニケーションコストが増幅し、チームの集中力を維持しづらくなるため、精鋭による小さなチームが好ましい。役割を埋めるためだけに凡人を雇うのはむしろ組織にとってマイナスの行為。
参ってしまったときの最善の突破口は「人を雇うこと」ではなく「より少ない労力で済ませること」。優先順位をつけ、集中し、無視する。そして、ユーザーが製品を気に入ってくれる兆しが見え始めたタイミングで採用に舵を切ること。
(ちなみに、じゃあ結局、採用するにはどうしたらいいのか?という質問に対して言えること:以下のことに気を付けるべし)
人脈を使い果たすこと。ブランド力が無い時には、これが圧倒的に効果を出せる。知っている中で最高の人たちのリストを作り、Zoomでピッチして、興味を以ってジョインしてもらうこと
第二の方法は「コミュニティ」の活用。DiscordやTelegram、Twitter、ニュースレターのチャネルがあるなら、そこに掲載をする。忠実なフォロワーを利用することが鍵
採用プラットフォームは、上記2点をやり切った後の話
ブロックチェーンエンジニアを採用する斬新な方法は、Web3に参入したいと考えているWeb2エンジニアを雇って教育すること。経験豊富なWeb3エンジニアは市場に少ないし、居たとしても既に自分のビジネスを立ち上げていることが多々
よくやる失敗③|コミュニティ運営の本質を知らない
クリプト界隈では「コミュニティは堀だ」、「最高のコミュニティが勝つ」、「我々はコミュニティ運営型のプロジェクトだ」などをよく聞く。
私の意見は「熱狂的なコミュニティが優れた製品につながるのではない:優れた製品の結果として熱狂的なコミュニティが出来上がるだけ」。
コミュニティは、"numba go up(筆者注:memeっぽい。数字が上がる的なニュアンスだと推察)"だと熱狂度が高まり、市場が弱くなるとFUD(=悪い噂)を起こして分裂するもの。コミュニティを正しく巻き込むには、まずは「ユーザーとして扱う」ことが自然である。
例えば、プロダクトのベータテストをしてくれるボランティアを探し、フィードバックを求める。コミュニティが直面している課題や不満を聞く。進捗状況やロードマップを更新する。UXが分かりにくいなら、プロダクトの正しい使われ方を教育する。
このようにして、プロダクト自身に対する貴重な洞察を得ながら常にコミュニティと関わることで、プロダクトを強化することでコミュニティが強くなり、強くなったコミュニティによってプロダクトの改善が進む、という好循環が生まれるのである。
ちなみに、私がこれまでに出会った最高のコミュニティ担当者はSynthetixのKain(創業メンバーの一員)だと思う。上記は、まさに彼が行っていたことだ。もう一人、過去に私の会社に属していたMcdexのLiu Jieも素晴らしかった。
二人に共通しているのは、コミュニティーの担い手が創業メンバー自身であるということ。24時間365日Discordに住むべきだとは言わないが(筆者注:でも要はそういうことなんだろうね)、創業メンバーがコミュニティ管理を行うことでユーザーリサーチという責任を果たすのだ。
よくやる失敗④|トークノミクスを魔法と信じ込む
トークンは重要。
トークンのインセンティブにより、ニワトリとタマゴの問題は解決され、クリティカルマスを自動的に操ることが極めて容易になったことは事実(筆者注:"クリティカルマス"はマーケ用語。詳しくはこちら等参照)。
しかし、ここでキーワードになるのは「GTM戦略」。
(筆者注:これもマーケ用語。どのように顧客にアプローチして営業活動やマーケティング活動を展開していくかを取りまとめたものを指す)
市場に出すべき優れた製品すら持っていない状態で、トークンをユーザー獲得戦略として使ってしまうと、本質的にはマーケティング予算を浪費していることと同義だ。トークンの供給量が限られるので、取り返しも付かない。
そして何より、トークンによるインセンティブを早期に開始することの危険性は、製品目当てなのかインセンティブ目当てなのか分からなくなり、真のPMFを判断できないことにある。栄光の瞬間が一過性のものであることに気づけないのは恐ろしい。
2020年夏、DeFiの領域においても、UniswapやCurveはトークンを持つ前にPMFを発見していた。もちろんPMF前にトークン発行をしたケースもあったが、少なくともインセンティブ設計はしていなかった。
ネットワーク効果に基づくプロダクトなら、まずはWeb2のグロースハックをきちんと試し切ること。インセンティブを実装するタイミングが来たとしても、洗練されきった(と信じ込んでいる)アルゴリズムに自信を持って大胆な一歩を踏み出すのではなく、少しずつ、控えめに、断続的に。
要は、トークン自体がプロダクトであるケース(MakerやAxieなど)を除けば、トークンよりプロダクトを優先しろよ、ということだ。
トークンの大まかな分配計画を立て、トークンに持たせたい効用について大まかなアイデアを持つことは大事。しかし、100人のユーザーに愛されるプロダクトができるまで過剰な開発はしないことだ。
(ちなみに、じゃあ結局、トークノミクスを形成するにはどうしたらいいのか?という質問に対して言えること:以下のことに気を付けるべし)
トークン設計のマニュアルは存在しない。原理と、プロダクトのユニークなニーズに基づいて、ゼロから設計されるべき。過去成功例の研究は大事だが、共通解ではないので妄信しないこと
業界標準は知っておいても良い(例えば「チーム、投資家、コミュニティの間の平均的なトークン分配はどのようなものか」「平均的な権利確定スケジュールはどのようなものか」など。1-2年の権利確定期間は短すぎるだろう)
できるだけ早い時期に、トップの取引所やDEXとの話し合いを始める。取引所はそれぞれ異なる要件を持っている。これはトークン設計に直接影響するうえ、時間の経過とともに大きく変化するのだ
価格や上場場所にこだわりは無いが、トップ取引所への上場は非常に価値があること。流通、流動性が高まり、無償のマーケティングが永続的に可能になる
「コミュニティが投資家やチームよりもはるかに大きな配分を与えられるべき」は必ずしも正しくない。トークンは、各グループの現在と将来のネットワークへの貢献度に応じて分配されるべきなのだ(一般的に、トークンの20~60%をチームと投資家に割り当てる。40%が平均的)
初期採用者にはあまりケチらない。優秀な人材には多くのトークンを支払う覚悟が必要。私は、初期のエース社員が、起業家所有分の1/5くらい所有することそれほどおかしなことではないと思う
本当に自信を持って長期的な視点で取り組んでいることを示したいのであれば、トークンの権利確定スケジュールはそれを反映したものにすべき。もし、権利確定スケジュールを短くしたり、自分自身や投資家を優遇したりすれば、最悪の投資家しか集まってこない
(筆者注:ここから先は広告的でありポジショントークでもある)複数の弁護士と話し、最良の法的判断を下すこと。トークンをローンチすることに決めたら、証券取引法に気を付ける必要がある(トークンプロジェクトでなくても、AML、デリバティブ、税法が関係してくるかも)。ほとんどの弁護士はこの分野には不慣れで、実際に何をやっているのか分かっていないため、意見は割れるだろう。規制の不確実性もあり、たとえ優秀な弁護士であっても、リスク許容度の違いや法律の解釈の違いから異なる見解が生まれる。
でも大丈夫!当社には経験豊富な社内の法務チームがあり、彼らは偶然にもトークンの専門家でもあるのです。彼らはあなたの代理人にはなれませんが、貴重なビジネス上のアドバイスを提供し、あなたを代理できるこの分野の最高の弁護士を紹介してくれるでしょう。そして、あなたの仕事は、そのうちの何人かと話し、彼らの意見を三角測量して、最良の法的判断を下すことです(筆者注:面倒なのでDeepLからコピペした)
アウトロ
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