見出し画像

劇団MCR新作舞台「前髪(あなたに全て捧げるけど前髪には触るな)」:ジェットコースターのような展開と見事な演技で魅せるエンターテイメント作品

GW3日目、私は劇団MCRの新作舞台「前髪(あなたに全て捧げるけど前髪には触るな)」を鑑賞しました。これが劇団MCR初観劇だったのですが、その予想を遥かに超える面白さにすっかり魅了されてしまいました。

コミカルとシリアスの絶妙なバランス

舞台は、常日頃からモラハラを受けている彼女の海里と海里の友達のみのりが海里の彼氏(ヤスくん:ビッグサイズ)を殺害し、密かにその罪を隠すところから始まります。しかし、その死体を運んでいる最中、ひょんな事故で遭遇してしまう謎のヤクザが現れ、二人は徐々に色々な展開を経て追い詰められていくというストーリーです。

この舞台の最大の魅力は、コミカルな会話とシリアスな展開が絶妙なバランスで織り成されていることです。観客を飽きさせないジェットコースターのような展開で、特に随所に散りばめられた笑いのツボは最高で、客席は何度も爆笑に包まれました。
2時間という長丁場ではあるがあっという間な時間でした。

リアルな心理描写と見事な演技

一方、シリアスなシーンも非常に良く作り込まれており、登場人物たちの葛藤や苦悩がひしひしと伝わってきました。特に、海里の彼氏を殺害してしまったことに対する罪悪感や恐怖心は、非常にリアルに表現されていました。海里さんの髪型がクシャクシャになるシーンは、その心理状態を象徴する印象的な演出でした。

役者陣の演技も素晴らしく、特にみのり役の女優さんは、コミカルな演技とシリアスな演技をどちらも完璧に演じ分けていました。海里役の俳優さんも、徐々に追い詰められていく様子を繊細に表現しており、非常に印象に残りました。

笑いあり涙ありのエンターテイメント作品

笑いあり涙ありの「前髪(あなたに全て捧げるけど前髪には触るな)」は、まさにエンターテイメントの極致と言える作品でした。初めて観劇する方にも自信を持っておすすめできる作品です。

劇団MCRの今後の公演もぜひチェックしたいと思います!

以下、さらに深掘りした考察を加えます。

緻密な構成と伏線回収: 巧妙に張り巡らされた伏線が後半で回収されていく構成は、観客を最後まで飽きさせない。特に、序盤で我慢しかしてない普通のOLとして描写されていた海里が、クライマックスで人間らしい感情を爆発させる成長があるなど、見事な構成力を感じさせる。
普遍的なテーマ: 殺人という重いテーマを扱いながらも、ユーモアを交えてシリアスになりすぎない点が笑いを起こしていた。
斬新な演出: 音響を効果的に活用した演出は、場面が変わるタイミングでの効果音は、非常に印象的だった。
総合的に見て、「前髪(あなたに全て捧げるけど前髪には触るな)」は、ストーリー、演技、演出の全てにおいて非常に完成度の高い作品である。エンターテイメント作品としてだけでなく、人間の心理を描いた作品としても深く考えさせられる舞台であった。

劇団MCRは、今後も目が離せない劇団の一つであると言えるだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?