前編では僕の中で海外志向が芽吹いたきっかけを書いたが、後編の今回はその芽が育っていく流れを書きたいと思う。 パリの焦燥 2019年2月、僕は舞台「海辺のカフカ」出演のためパリに来ていた。ちなみにそこで僕はキャリア1年目にして岡本健一さんと2度目の共演を果たしている。村上春樹原作x蜷川幸雄演出はパリでも相当な話題となり、国立ラ・コリーヌ劇場前には当日券を求める列が連日できていたという。 日本人も村上春樹さん本人を始め錚々たる顔ぶれが観に来たが、その中に無事NYの演劇学校入
海外に拠点を移す話をすると「日本の演劇界が嫌になったの?」と聞かれることがたまにある。だけど僕にそんな気持ちは1ミリも無い。 幸運なことに僕は今まで素晴らしい俳優・演出家・制作者・スタッフの方々と仕事をする機会に恵まれてきた。デビュー後2年も待たずに大手事務所を退所した後も、直接出演依頼のお声がけをいただいた。本当に感謝しかない。 将来的にまた日本でも舞台や映像作品に携わりたいと思っているし、むしろその時のためにスキルアップ・スケールアップしなくてはと思って日々を過ごしてい
東京からバンクーバー、そして世界へ プロの俳優として4年ほど活動した東京にひとまず別れを告げて、2022年5月、僕はカナダ・バンクーバーに拠点を移した。 理由はひとつ。 ハリウッド俳優になるため。 言わずと知れたエンタメの首都ハリウッドは当然アメリカ・ロサンゼルスにあるわけだが、そこから2000kmほど北に位置するバンクーバーは「ハリウッド・ノース」と呼ばれるほど映画・TV産業が盛んだ。税制優遇や景観の美しさ等の理由から、ハリウッド作品と言いつつ撮影地はバンクーバー、と