「禅の響 -ZEN no OTO- | 越後三谷 」矛盾を愛せよ
心に響く、言葉、音、感覚。
そうしたものは、遠くに響く鐘や琵琶の音色のようだ。
富士を毎日のように見る時、晴れやかであり、曇りであり、嵐である。
その一つ一つも、また心に響く。
大きく偉大なものでさえ、多くの矛盾をもつ。
その矛盾は美しい。
私達が知る多くの矛盾を知る事は、この世界の理に等しい。
一つの心を知ろうとする時、良い一面だけを見ようとするのは、人の習性なのだろうか。それとも現代人の習性なのだろうか。
その人を知ろうとした時、臆病になる事や、虚勢を張ろうとする事はないだろうか。
多くの人と接する際、自分の中の思いを捻じ曲げ、弱くし、人に合わせ、心を痛めた事はないだろうか。
私は、こうした失敗を日々のように繰り返す。そして成長しようと日々、反省する。
私たちの心は弱い。そうした中に矛盾がいくつも存在し、細胞のように生まれ変わる。矛盾という台風の中に、空洞となる台風の目を感じる事がある。その台風の目は穏やかで、また真実で、空のような。
矛盾を愛せよ。私はそう思う。
矛盾は美徳であり、また人の愛だろ思う。
そうすると、唇がほんのり柔らかくなるのを感じる。口の中も。
矛盾は優しさだ。
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