太陽と北風
旅人のコートを脱がせるのはどっちかって話。旅人はコートを吹き飛ばすような寒い北風よりも自分を包み込むお日様の暖かさに動かされてコートを脱いだ。教訓は冷たい態度よりも暖かい態度の方が人の心を動かすということらしい。それも、急がず時間をかけた方がいいと。
でもそれって不公平じゃないのかな。だって北風は北風を起こすことしかできない。どんなに頑張っても北風は太陽にはなれない。彼なりのやり方で頑張ったのに、認めらなかった北風が私はとても気の毒である。
風はコートを脱がせられなかったけど、彼ができることは温めることじゃない。風を吹かせることだったのだ。自分の力の使い方が正しい時と正しい場合じゃなかったから、この話では彼は「失敗」ってことになってる。もしかしたらこの掛けをお日様に申し込むべきじゃなかったかもしれない。これから言えること、本当は人に優しくしなければいけないってことじゃなくて、自分の力をよく知ること、そして使う機会を見定めようよって話だと思う。
脳のある鷹は爪を隠すっていうけど、もし北風が在るべき場所で在るべき時間にあるべきタイミングで風を吹かせていたら?北風だって賞賛されるべき素晴らしい能力がある。当たり前だけど、世界は優しいお日様の人だけで回っているわけじゃない。北風もいて、お日様もいる。そして太陽のできないことのできる北風の偉大さを忘れてはいけない。
私がなれるのは、お日様だろうか、それとも北風だろうか、もしかしたら、また他の誰かだろうか。
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