薄雲かかる静かな夜。欲しがっていた安らかな小夜は、少しばかり物足りないな。大切なものは掌に固く握っていたはずのに、開けば小さくなっていた。寂しいのは、誰かとのさよならでなく、自分とのさよならだ。また捨てるの? ああ、まただ。またを幾度と繰り返して、僕は僕になるだろう。

いいなと思ったら応援しよう!

矢口れんと
ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います!