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すーさん/神話・民話の世界からコンニチハ 14〜18 【神話部一周年企画 No.3】

note神話部一周年記念祭3日目です。
note神話部一周年記念企画では部員の作品を読み合い、それぞれの記事に対して鑑賞文を書いて頂きました。エントリーは6名。1人ずつ作家・作品を紹介させて頂きます。部員の鑑賞文と共にお楽しみ頂ければ嬉しいです。

【部員紹介】

第三回はすーさんです。『神話・民話の世界からコンニチハ』シリーズでは、日本神話はもとより、アフリカ、アステカ、オーストラリア、メソポタミアなど……扱える地域・時代の広さに驚かされます。ライトで読みやすい文体でありながら、その奥には深い知識と経験が鎮座しているようです。毎週滞りなく投稿できるのも素晴らしい。創作未来神話『ガーディアン・フィーリング』も連載中!

【エントリー作品】
神話・民話の世界からコンニチハ 14〜18

【鑑賞文】

矢口れんと

魅力的な物語の型のひとつとして「バディもの」があると思います。主に男性同士で、似たもの同士、互いにない物を持つ同士、ライバル同士など様々なパターンがあります。多くの場合、闘って相手の強さを認め合うことでバディが始まります。メソポタミア神話のギルガメッシュとエンキドゥは、多くのバディの原型と言えるのではないでしょうか。2人で力を合わせ苦難を乗り越え、死の瞬間まで共有したいと願う……そんな関係は男性のロマンを掻き立てるものでしょう。
特に面白かったのはフンババ退治の話です。森林伐採が当時の文明開発にどれだけ利益をもたらしたかは想像に難くなく、その功績を讃えて「人間の勝利」としての神話が語られたのかもしれません。自然破壊を問題視する現代の私たちに必要なものは科学的根拠だけでなく、新たな神話なのかもしれません。

悠凛さん

最初の一話目から大ファンでして(笑)。
「それでは」の行を見ると、もう自動的に顔が笑うまでになりました。もはや、パブロフの犬状態です。
メソポタミア文明と言えば世界四大文明のひとつで、必ず歴史で習うのに、神話となるとそれほどメジャーではない気がする……のに、あれ?ギルガメシュって何か聞いたことある?いや、ない?などと考えつつ、ここでもやっぱり、神話の神様の人間臭さにヤラれてしまう私でした。
当初のギルガメシュも結構なものですが、暁の女神イシュタル様の欲望に忠実なところとか、本当に楽しく読ませて戴きました。
これからも続きが楽しみです。

旅野そよかぜさん

シリーズの14話から18話と5作品を取り上げた内容。ギルガメッシュとエンキドゥが登場する物語。14話で古代メソポタミアに残る物語。野人として誕生しながら娼婦によって立派な人間らしくなるエンキドゥとギルガメッシュが激突。ところが熱い友情で結ばれるという。15話では森の番人フンババと戦いでの勝利。16話では聖牛グガランナを協力して倒す。ところが神々が怒りエンキドゥは死ぬ。17話ではギルガメシュが不死の思いに駆られるも、うまくいかず諦める。18話は、少しタッチがちがうも冥界を舞台にした物語、魂だけが戻るエンキドゥという物語。いずれも銘盤から読み解かれた物語をわかりやすく説明していました。あとこの5話だけでなくこのシリーズ全体の事ですが、物語だけでなく補足的なインタビューがあるのがわかりやすいです。

笹塚心琴さん

ギルガメシュさまとエンキドゥさまの熱い友情に心を揺さぶられました。このお二方、いい意味で非常に人間らしいです。神々の不条理な処遇にも毅然と立ち向かう強さもそうですが、怒ったり泣いたりと感情的になるところもです。すーさんのインタビューという形も面白かったです。流れやバックボーン、登場キャラクターの関係性がわかりやすくて、私にはなじみのなかった「ギルガメシュ叙事詩」を楽しく知ることができました。

吉田翠さん

神の祝福を受けて誕生した王であり英雄のギルガメッシュ。友、いや相棒といえるエンキドゥとの触れ合いが楽しく描かれていました。
インタビュー形式というのもポイントで本音(?)もチラホラと。
不死などとは幻想なのだと、それを悟るところにポイントを置き、芯となっている部分がとりわけ清々しく感じられました。

ヘッダー画像は吉田翠さんの作。
まことにありがとうございます!

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ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います!