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虚の壁 【詩】

はがねの壁は
すり抜けられる日を待っていた
天使を迎えたがっていた

不本意にもそびえたのは
誰かの過信が養分になったせいで
ほんとうは誰のことも閉じ込めたくなかった

不信が咲かせた花は永遠のイエロー
誤謬ごびゅうが招いた鳥の飛跡よ

鋼の壁のあるところに可能性があった
南南西に雲の王冠 東北東に注ぐ光彩
刻一刻と法則の変わるユートピア

ほら狼煙のろしが上がった

スラムとメランコリーの摩擦熱に
浮かされた人々が白夜を行く


#詩

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