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レンズ談義 その9 曲者クセノン

 クセノンの50ミリ

 シュナイダーの主力レンズであるクセノン、前半期はトロニエ(A.W.Tronnier)の設計により、50ミリF2(5群6枚の変形ガウス型)が主にKodak Retinaシリーズ用に供給された。
 トロニエは、その後、フォクトレンダーなどに移籍し、独自のレンズ哲学に基づき、ダブルガウスの傑作ウルトロンなどを生み出した。
 そのレンズの特質を一言で言うと、彼の設計したレンズの中央部の描写(その力)には、神の目が息づいているかのように思える。
 
 後半期のクセノン50ミリF1.9は、典型的なダブルガウスのレンズ構成に戻っている。
 50ミリF1.9は、DKLマウントとExaktaマウントやM42マウントとに大別され、人気を分け合っているようです。
 
Retina-Xenon 50mm F1.9(Schneider Kreuznach)
4群6枚 ダブルガウス型
デッケルマウント
最小絞り値 f22
シルバー鏡胴
 

 30年近く前の昔、中古のレチナⅢCを買い、付属するクセノン50ミリF2の剃刀のような切れ味を験そうとしましたが、F2は思うに任せず、ポジフィルムの残骸だけが残りました。
 それ以来、クセノンは届かぬ夢物語になっていたのですが、ミラーレスカメラの登場で、その難壁をようやく乗り越えることができるようになりました。
 
 さて、ネット・オークションでクセノン50ミリF2を探すのですが、手頃な値段のものは、なかなか出て来ません。
 クセノン50ミリF1.9の評判もなかなかのもので、描写的にはF2よりも安定しているとの評価もあり、何はさておき価格的にも圏内でした。
 以前購入したカラー・ウルトロンで変形ガウスの頂上を見極めた気がしたので、トロニエ信仰はこの際あっさりと捨て、F1.9を購入しました。

 まだ、あまり使いこんでいないので、このレンズの評価は難しいですが、オールドレンズ漁りはぼちぼち仕舞い支度にして、撮影した画像たちを表舞台に出す方向に注力して行こうかなと思っています。
 兎にも角にも、クセノンは、わたしにとって文字通りの曲者レンズで、ここに来るまでに随分と手を焼かされました。
 その分、見返りもそれなりに大きいのかなとひそかに期待している今日この頃です。


追記
 シュナイダーは、シネレンズも多く手掛けています。
 Xenon 1inch(25mm) F1.4やF1.5(いずれもCマウント)、とりわけArriflex Cine Xenon 1inch F1.4は、垂涎系です。

 Hugo Meyer Kino Plasmat 1inch F1.5 ( Cマウント )やAngenieux 1inch F0.95 Type M1 ( Cマウント )、Angenieux 1inch F1.4 Type S41(Cマウント)など、憧れのシネレンズは、高嶺の花のままです。

補記
 レンズ沼を無事抜け出したら、シャワーを浴びて長年の泥や垢を落とし、さっぱりと着替えを済ませたら、ぬくぬくのコタツにでももぐりこんで、よく冷えた缶ビールでも飲むとしよう。
 銘柄は、超ドライでも一番印でも構わないのだが、絞りが効きすぎてはわたしの写真哲学?には添わないので、恵比須顔か黒、モルツ、バドやクアでも全然オッケーだ。
 

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