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花粉(高濃度)への短期曝露による死亡リスク上昇について
そろそろ本格的な花粉症シーズン。
以下の記事では『前年比430%』なんて数字も。
なんだか毎年のように『前年比増』な気がする。
もしや、20年前比で1万倍とかになってたりしないですかね。
◇◇◇
それはともかく。
Medical Xpress で気になる記事を見ました。
以下リンク。
『花粉飛散量の増加が、高齢者の死亡率上昇に関連している』という感じのタイトル。
今回は該当する論文を取り上げます。
◆論文引用
要旨を引用します。リンクは以下。
Published: 16 January 2025
ミシガン州の高齢者における慢性・呼吸器疾患死亡率と4種類の花粉への短期暴露、2006~2017年
BMC Public Health volume 25, Article number: 173 (2025)
概要
導入
人為的な気候変動により生育期が長くなり、激化するにつれて、植物由来の空気アレルゲンのレベルが上昇しています。花粉への曝露が増えると、特に高齢者の間で呼吸器疾患による死亡リスクが増加する可能性があります。私たちは、米国ミシガン州における 4 種の種の花粉 (ブタクサ、落葉樹、イネ科植物の花粉、常緑樹) と呼吸器疾患による死亡率 (全原因、慢性および感染関連) との短期的な時間差による関連性を突き止めました。
方法
ミシガン州保健福祉省 (MDHHS) から 2006 年から 2017 年までのミシガン州のすべての死亡記録を入手しました。感染症および慢性呼吸器関連の原因による死亡は、国際疾病分類 (ICD-10) コードを使用して選択しました。花粉データは、25 km 解像度の毎日の花粉濃度の予測モデルから取得しました。花粉の分散ラグ非線形クロスベースを使用したケースクロスオーバーモデルを使用して、毎日の花粉濃度のラグと死亡率の関連性を推定し、性別と人種グループによる影響の修正を調査しました。
結果
127,163人の死亡がこの研究に含まれた。落葉広葉植物、イネ科植物、ブタクサの累積高濃度(90パーセンタイル)は、早期ラグでの全呼吸器疾患による死亡率と関連しており、例えば、90パーセンタイルでの落葉広葉植物の花粉への累積7日間ラグ曝露では、全呼吸器疾患による死亡リスクが1.81倍高かった(95%信頼区間:1.04、3.15)。高濃度のイネ科植物およびブタクサ花粉への曝露は、慢性呼吸器疾患による死亡リスクの増加と関連していた。いずれの花粉種も感染性呼吸器疾患による死亡との関連は認められなかったが、落葉広葉植物およびブタクサ花粉への曝露には正の関連があったが有意ではなかった。人種や性別による影響の修正を示唆する証拠は見つからなかった。
結論
モデル化された高濃度の花粉分類群への曝露は、高齢者の全死因死亡率および慢性呼吸器疾患による死亡率の上昇と関連していた。結果は、気温が上昇し、花粉の季節が長くなるにつれて、花粉曝露が呼吸器疾患による死亡率にとってより重要になる可能性があることを示唆している。
Google翻訳
[2025.02.12 引用]
https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-025-21386-3
◆まとめと所感
研究では日毎の花粉濃度と死亡率から、短期的な(累積)高濃度曝露と呼吸器疾患の死亡リスク上昇に関連があると結論付けています。
重要箇所は以下のあたりでしょうか。
全呼吸器疾患による死亡リスクが1.81倍高かった
感染性呼吸器疾患による死亡との関連は認められなかった
人種や性別による影響の修正を示唆する証拠は見つからなかった
ちなみに研究は『花粉濃度と死亡率の関連』であって、花粉症(花粉アレルギー)との関連は不明のようです。そのような可能性はあるでしょうけど今回の研究では不明。
◇◇◇
気になるのはシンプルに『花粉を吸うと死亡リスクが上がるの?理由は?』ですが、メカニズムへの突っ込んだ言及は無し。
ただ、今回のような研究は初というわけでもなく、類似研究により心血管疾患も花粉濃度と関係あるっぽいと書いてあった。該当論文リンクは以下。(全文読めず)
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(00)02168-1/abstract
◇◇◇
花粉はヤバイのだろうか?
私は素人なので、たまに見るように『花粉が有害ってよりは大気中の化学物質を媒介しうる微粒子全般がリスクじゃないっすかね?』とか思う。
ただ、重度の花粉症の人が杉だらけの山に行ってもまったく平気だった、みたいなのは都市伝説レベルでしか聞かないので、フツーにアレルギーもあるだろうと思う。
たぶん両方ある。
なので pm2.5 濃度との関連も気になるが、そのあたりは論文中で『(pm2.5は)さまざまな程度で花粉とも相関していた』と言及されている。それ以上追及されていないが、やはり無関係ではなさそう。
◆おわりに
以上、今回の研究は花粉の濃度と死亡リスク上昇の関係を示唆している。しかし花粉自体がヤバイのかや花粉症との関連は不明。
また、分析の対象となったのは『(高齢者の)呼吸器疾患』であって、他の疾患や年齢層での死亡リスクとの関連は明らかになっていない。それが気になる。
◇◇◇
ちなみに私は明らかな花粉症でしたが最近はガチでマスクをしてるせいか、ほとんど症状が出ない。
鼻から吸ってないだけですが、目の症状も大幅に緩和されてる感じなのが不思議。(そのような説は論文でチラッと見た気がするが)
ということで、マスクで花粉症対策をしたい方は以下をオススメしまーす。知らない人が多いですが、漏れ漏れのマスクじゃ花粉なんて防げなくて当たり前なんですよー。
なお、本気でやりたい方は以下(N95マスク)をどうぞ。