『マスクを外したからコロナが増えた』とかについて考える。
マスクに限った話でもないですけどね。
『〇〇だからコロナが増えた/増えてない』みたいなのを見る事があります。
私も初期の頃はそんな憶測に基づいて書いたことがあるかもしれませんが、最近は抑え気味。
『そんな簡単なもんじゃない』とわかるくらいにはなったわけです。
今回はそのあたりを。
◆なぜウイルス性の感染症は流行するのか?
ピークがどれだけ大きくなるのかは別として、なぜウイルス性の感染症は流行を繰り返すのか、また、収まるのか。
そのようなベースとなる理論が無いなら、たかが一つの要素(マスクとか)の違いで『増えた/増えてない』という判断が出来るものではないでしょう。
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その主張をするなら『他の要素が不変か無視できる程度の影響である』と証明しなければならず、そこに言及されているものはほぼ見ません。
(良い研究はそこの切り分けがしっかりしています。)
まあつまり、総合的な論拠に基づかない『〇〇だからコロナが増えた/増えてない/減った』みたいな主張に説得力は感じません。
◆流行に関わる複数の要素
現状では以下のようなものが流行に影響を及ぼしていると推測しています。
影響力の強い順に。(素人の憶測です。)
・ウイルスの特性
・獲得免疫(交差免疫)
・季節(人流の変化、環境)
・公衆衛生(マスク)
ウイルスの特性が一番です。
これは『新型コロナ』と『RSウイルス』『麻疹』などを比較すれば理解できるでしょう。
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流行の開始についてはウイルスの特性と季節の影響が強いと考えますが、新型コロナの場合は該当しません。年中ピークを形成しています。
今のところ、ウイルスの変異が主要因という可能性は高いでしょう。
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ピークアウトについては、上記の影響による『疑似的な集団免疫』を一時的に形成するためと推測します。
そして、次のピークのドミナント(支配的な変異株)は、自然と免疫回避性の高いものになるため、獲得免疫(交差免疫)への期待値は都度異なるものになるでしょう。
◆変異株について
ここ最近ずっとオミクロンという名称のままである理由はわかりませんが、細かい変異株にわかれており、最近のものは以下。(東京都のものです。)
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ちなみに2022.5月から2023.4月のものが以下です。
最近のXBB系統をここまで細かく分類する事の意味(性質的な違い)については素人なので判断出来ませんが、少なくとも変異は加速・多様化していると思われ、当面のところ感染による集団免疫は期待出来ないでしょう。
◆マスクの影響について
マスクが無意味という主張の理由で、『第8波まで最大の被害を更新し続けている』『感染者数世界一』などが言われていますが、正直意味がわかりません。
丁寧に考えるなら『マスクは無意味』ではなく『日本のこれまでのマスク戦略は実行再生産数を1未満にしない(X程度しかない)』というのが確定事項でしょう。(逆にXまで抑えたという解釈も出来る)
そして、変異株は特性が多少なりとも変わり、これまで感染を続けてきたという状況(獲得免疫)も各国で異なるものになっています。
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それらのことを考えるなら、マスクの効果について過去のピークや海外の実績と単純な比較をすることはナンセンスです。
また、『コロナ感染者数の増減』と『マスク着用ガイドラインの変更』からマスクの効果を判断することも難しいでしょう。
仮に義務が課せられていてもノーマスク同然の人はいるでしょうし、義務が終了しても慎重な人は着け続けます。
順守率やマスクの質、その他の影響まで考えると説得力のある解析は期待出来ません。大規模な統計では無理でしょう。
さらに、曝露量による症状の違いを仮定するなら、単純に感染者数のみで比較することが誤りです。
◆おわりに
『マスクの有無とは無関係に感染者数は増えたり減ったりする』という事実は当然のこととして、だからマスクに意味が無いと私は考えません。
最近の記事で書いたとおり、ユニバーサルマスキングの効果(生成するエアロゾルの抑制)は結構強いと推測していますので、現在の流行状況は公衆衛生の緩和が反映されたものと見ています。
おそらく今夏は過去最大の被害を出すでしょう。
恐怖を煽る意図はありません。
先行した沖縄と今の全国的な状況を見るなら、そう判断せざるを得ないだけです。
今回は私も逃げ切れるか怪しい。
皆さんもお気をつけて!