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女性(小顔)はマスクを正しく着用するのが難しい?

どうもこんにちは。
マスクオタクです。

今回の記事ではマスク着用時の漏れ率と性差に関する論文を取り上げる。

なお、マスク着用時の漏れ率についてはこれまでの記事でしつこいくらい書いているため、既にご存知の方は飛ばし読みで問題ない。

ちなみに以前記事にした日本の研究は以下。

今回の結果は上の研究より良かったものの、タイトルに書いた通り女性のほうがマスクを正しく着けるのは難しそうだ。ただ、性差というよりは顔とマスクのサイズが原因だろう。


◆論文引用

該当する論文から一部引用する。あとで軽く説明するので引用部は飛ばしてもOK。
なお、本記事の引用部および図はすべて以下から、2024.07.18時点のもの。

Article Open access Published: 02 July 2024

使い捨てフェイスマスクのフィットろ過効率の男女差

Journal of Exposure Science & Environmental Epidemiology (2024)Cite this article

要旨

背景と目的
使い捨てフェイスマスクは、浮遊ウイルスや粒子状大気汚染物質などの感染性・有毒エアロゾルへの曝露による健康への悪影響に対する主要な防護手段である。職業環境では高効率レスピレータの装着が規制されているが、一般市民が着用する耳かけ式フェイスマスクの装着ろ過効率については比較的ほとんど知られていない。

方法
健康な成人被験者コホート(N=100、女性50%、男性50%、平均年齢32.3±9.2歳、平均BMI=25.5±3.4)を対象に、N95(レスピレーター)、KN95、サージカルマスク、KF94マスクについて、米国労働安全衛生局の定量的フィットテストを用いて、一般的に着用されている4種類の使い捨てフェイスマスクの適合ろ過効率(FFE)のばらつきを測定した。後者3種の耳かけ式マスクは、後頭部のループを中央で留めるプラスチック製クリップで締め付ける、クリップ修正条件での試験も行った。

結果
結果は、性別がKN95、外科用、KF94マスクのFFEの主な決定要因であることを示している。ベースライン検査では、男性は女性に比べて平均11%FFEが高かった。我々は、イヤーループクリップを用いた簡単な修正により、女性の平均FFEは改善されたが、男性の変化は比較的軽微であったことを示す。クリップを頭の後ろに装着した場合、男性では6%の増加であったのに対し、女性では平均して20%の増加が見られた。

Variation in the fitted filtration efficiency of disposable face masks by sex _ Journal of Exposure Science & Environmental Epidemiology.html
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
[2024.07.18 引用]
https://www.nature.com/articles/s41370-024-00697-4

◆まとめと所感

研究では規格の異なる4種のマスクが使用され、N95(ヘッドループ)を除く3種についてクリップ(フック)使用による漏れ率の改善度合いが性差と共に示されている。

漏れ率低減の工夫としてフックを使用するのは有名だ。100均でも売っていたし私も一時期使用していた。

なお、研究では漏れ率という指標ではなく『適合ろ過効率(FFE)』が使われているが、一般人にとっては『フィルターを介して濾過された空気を吸っている割合』で良いかと思う。漏れ率とは逆だ。当然100%が最高、0%が最低。

◇◇◇

さて。

研究全体を表すビジュアルイメージは以下。

女性(Female)ではBaselineが男性(Male)より低いが、クリップの使用で大きな改善が見られる。男性ではそれほど改善せず。

◇◇◇

詳細を見ていく。

クリップ使用前の結果が以下。総じて女性のほうがFFEは低い。

各マスクのFFE

使用されたマスクは以下。

  1. 3M N95 Aura 9205+
    (3M, St. Paul, MN, USA)

  2. KN95
    (Zhongshan Saifute Labor Protective Articles Co., Guangdong, China)

  3. 3-ply surgical mask
    (Hannah Linen, Portland, OR, USA)

  4. size large KF94
    (Dr. Puri, KM Corporation, Gyeonggi-do, Republic of Korea)

No.1,4は知っていたが、その他は初見。仕様を探してみたが見つからず。ただ、全体として割と入手しやすいスタンダードなものっぽい。

その割にサージカルマスクのFFEが50%を超えていて怪しい。高すぎる。

私の実験では普通のマスク(フィッティ 7DAYSマスク EX)でも丁寧に着ければそれくらいだったが、普通に着けたくらいじゃそうはならないので今回の研究結果は着用指導込みっぽい気がする。

◇◇◇

クリップ使用後との比較一覧が以下。女性は改善度合いが高い。なお、N95はもともとヘッドループ(頭掛け)なのでデータは無し。

クリップ使用によるFFEの改善
(左:総合 中央:女性 右:男性)

これを見るとKN95が結構優秀。

女性のKF94の改善度合いがやたら高いが『size large KF94』だったようなので、そりゃそうだよね、という結果。


◆おわりに

研究結果に示されたとおり、イヤーループ(耳掛け)程度の着圧では弱く、隙間が大きく生じる。KN95,KF94を規格だけで高性能マスクだと信用している人は注意が必要だ。

また、高性能マスクはサイズバリエーションが無いものが多いため、女性や小顔の方は選定に注意が必要だろう。

◇◇◇

クリップ使用による明らかな改善は、マスクの適切なサイズ選びと着圧の強化が重要であることを示している。

しかし、ほとんどのマスクはノーズワイヤーが貧弱なため、クリップ(フック)を使用しても逆に隙間が開いてしまう可能性がある。また、私は試したことがあるからわかるが、伸びて細くなった紐が耳に擦れて痛みが生じやすい。

個人的にはアジャスターによる着圧の強化とともにノーズパッドを使用することで、大幅な漏れ率の低減が見込めると考えている。(詳細は以下)

マスクで自らを守りたいと考えている方は、N95(DS2)マスクを使用するか上のような工夫を検討したほうが良いだろう。蒸れるけど。

マスクはTPOで有効活用したいものである。

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