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日本の研究により『マスクの漏れ率は96.44%』ということが判明。

どうもこんにちは。
マスクオタクです。

今回はマスクの漏れ率に関する日本の論文を取り上げたいと思います。研究内容は『マスクの種類や着用方法で漏れ率がどれくらい異なるのか比較した。雑に着けたら漏れ率は超大きい。ちゃんと着けても結構大きい。』って感じ。

ちなみに『漏れ率』は論文中で『内方漏出率(ILR)』とされていますが、これはざっくりと『マスクフィルターを介さずに吸っている空気の割合』ということで良いかと思います。

で、タイトルの『96.44%』は雑に着けた場合ですが非常に残念な結果。

まあ『もう2024年だぞ。今更かよ』って感じはありますけどね。


◆論文引用

該当する論文から要旨を引用します。あとで軽くまとめていますので興味の薄い方は飛ばしてもOKです。リンクは以下。
(なお、本記事の引用部および画像はすべて以下リンクから 2024.03.21 時点のもの。www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。[2024.08.08 追記]イメージビジュアルが修正されたため、該当する画像のみを差し替えました。)

COVID-19パンデミック時のN95フィルター付き面体レスピレーターと改良型サージカルマスクの内方漏出率の比較

Published: 2024
Released on J-STAGE: February 16, 2024
https://doi.org/10.1265/ehpm.23-00303

要旨

背景 COVID-2019パンデミックでは,サージカルマスクおよびN95フィルタリングフェイスピースレスピレーター(FFR)が不足したため,感染予防のためにさまざまなマスクが開発された.本研究では、定量的フィットテストを用いて密閉型フェイスマスクおよび修正型サージカルマスクの内方漏出率(ILR)を検討し、未修飾のN95 FFRのILRと比較することを目的とした。

方法 2021年10月から12月にかけて、屈曲ノーズフィットワイヤーマスク、二重マスク、N95 FFRのILRの一対比較を行った。マスクの防護効果を測定するため、参加者はマスクを着用し、マスクの外側と内側の粒子数を測定した。ILRは、フィットテスターを用いてマスク内に侵入する粒子の割合に基づいた。

結果 本研究には54人(男性20人、女性34人)を登録した。ノーズフィットワイヤーにW字型に曲げ加工を施していないサージカルマスクと施したサージカルマスクのILR中央値は、それぞれ96.44%と50.82%であった。ノーズフィットワイヤーの調整により、サージカルマスクのILRは平均28.57%減少し、調整なしのILRより有意に低かった(P<0.001)。W型マスクの上にサージカルマスクまたはポリウレタンマスクを重ねたダブルマスクでは、ILRはN95と有意差はなかった。二重手術用マスクのろ過性能はN95マスクと同等であったが、そのILRは顕著に高く、二重マスクは同等の防護を提供しないことを示している。

結論 N95マスクの着用は多くの症例で有効である。しかし、サージカルマスクの改良は安定した効果を保証するものではない。適切に選択され、装着感のよい密封マスクは漏れを克服し、その重要な役割を強調する。根拠がなければ、マスク着用は予期せぬ感染につながるかもしれない。有害な転帰を防ぐためには、定量的なデータに基づいた教育が重要である。


◆まとめ

この研究では54人の参加者個々に以下の種別でマスクの漏れ率が測定されています。

・測定0(初期): マスクA:募集時に個人が着用していたマスク(様々なタイプのマスクを含む)。

・測定1(手術用): マスクB、プリーツを広げ、鼻のフィルターワイヤーを押さえた状態で着用。

・測定2(サージカルW): 被験者の鼻の形に合わせて、装着前にノーズフィットワイヤーをW字型に調整したマスクB。曲げ方が異なるとフィット感に影響するため、同じ研究者がすべてのマスクのワイヤーを曲げ、手順を標準化した。

・測定3(S-Sダブル): マスクBを2枚重ねたダブルマスク。測定2を定量化した後、最初のマスクの上にさらにマスクBを追加した。

・測定4(S-Uダブル): マスクBの上にマスクCを重ねたダブルマスク。測定3の後、マスクB(一番上の層)を取り除き、マスクCを追加した。

・測定5(N95): マスクDを着用し、フェイスマスクと呼吸器の間に隙間がないことを確認するため、研究者が参加者にマスクの着用を指導・介助した。

◇◇◇

結果をまとめたイメージビジュアルが以下。マスクの種類や着け方も描かれています。数値は漏れ率(中央値)です。低いほど優秀。なお、測定0の結果はありませんが100%でした。

◇◇◇

グラフ化されているものが以下。
こちらは測定0(Initial Measure 0)の結果もあります。

白い横バーが中央値だと思うんですが個々の結果(青丸)はバラつきが大きいですね。

◇◇◇

この結果からわかることはざっくり以下。

  • 雑にマスクを着けると漏れ率はほぼ100%。

  • 丁寧に着けるとほぼ50%に改善。
    (鼻脇の隙間がデカイ)

  • 二重マスクでは改善するがそれほどでもない。

  • 指導込みの良いN95マスクは優秀。

◇◇◇

研究では顔面の各部の寸法測定が行われ、参加者の年齢などの特徴と共に漏れ率との関連が調べられています。結果『有意な関連性は無かった』とされています。鼻が高い人や顔の小さい人は不利だと思ってたので意外。

注意点ですが、この研究で使われたマスクは参加者が使用していたものを除き、サージカルマスクもN95マスクもそれぞれ1種類のみということ。そして、私が見る限り両方ともかなり良いマスクです。

サージカルマスクはおそらくメディコムのものと予想しますが、強めのノーズフィッター(アルミか芯入り)と適切な着圧が期待できる耳紐が使われていると推測します。N95は興研のハイラック350と思われ、これは容易に低い漏れ率で着用出来る最高に近いN95です。

使われたのが平均的なマスクだったら結果はまったく違っていた(もっと悪い)だろうと思います。また、測定は静止時だと思いますので1日の着用時平均だともっと悪いでしょう。


◆おわりに

私はこれまでの記事で『世間一般の漏れ率中央値は8割、ちゃんと着けて5割程度』と推測していました。それほど外してはいなかったですね。

今回の論文の結果は『マスクの種類と着け方で結果は大きく違う』ということを示しています。

なお、漏れ率が高くても無意味ということはありません。エアロゾル排出量の抑制に関してはルーズでも結構機能します。ただし、マスクで自らのリスクを減らしたい場合は気を付けたいですね。

ちなみに、私はノーズフォームと耳紐アジャスターを追加して漏れを低減させています。興味のある方は以下をどうぞ。


[2024.08.08 追記]
記事中のイメージビジュアルに一部誤植があったようです。修正後のものに差し替えました。

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