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新型コロナ再感染率は88%(オーストリア)

新型コロナ関連記事ということで、始めに日本の流行状況を載せておきます。以下の感じ。

新型コロナウイルス 感染者数やNHK最新ニュース|NHK特設サイト.html
[2024.09.02 引用]
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/

私の住む埼玉はお盆休みで一旦下がったため、若干のリバウンドが見られる。ここから新学期の影響がどうなるか。流行のピークは東北に移りつつある感じですかね。

◇◇◇

さて。

今回はオーストリアの新型コロナ再感染率に関する論文をご紹介。
タイトルに書いた通り88%と高い推定値。

日本の最近の抗N抗体情報も取り上げます。


◆論文引用

対象の論文から Abstract のみ引用します。
以下リンク。

Infect Dis (Lond). 2024 Jun 13:1-11.doi: 10.1080/23744235.2024.2367112.Online ahead of print.

初感染時にCOVID-19の病勢が軽度または無症状の献血者におけるSARS-CoV-2再感染の動態の解明

PMID: 38869944 DOI: 10.1080/23744235.2024.2367112

要旨

背景
SARS-CoV-2再感染の動態を理解することは、公衆衛生政策、ワクチン開発、および長期的な疾病管理にとって極めて重要である。しかし、一般集団における再感染に関するデータはまだ少ない。

目的
本研究の目的は、健康な成人を代表するオーストリアの献血者における一次感染後2年間のSARS-CoV-2抗体動態を調査し、再感染リスクを評価することである。

方法
2020年6月から2023年12月までのSARS-CoV-2総抗N値について117,895人の献血を分析した。研究参加者230人を対象に、24ヵ月間に5回に分けて抗N抗体および抗S抗体の動態とin vitro機能性を調べ、人口統計学、ワクチン接種状況、再感染意識との関連を評価した。

結果
SARS-CoV-2感染由来の抗N抗体の血清有病率は経時的に上昇し、2023年2月までに90%に達し、その後もその水準で推移した。血清学的スクリーニングによると、再感染率は88%であり、参加者の報告によると再感染率は59%であった。さらに我々のデータから、再感染の約26%は全く気付かれなかったことが明らかになった。抗体の動態は年齢、性別、ABO血液型とは無関係であった。興味深いことに、複数回再感染を起こした人は、初感染時に症状を訴える頻度が高かった。さらに、ワクチン接種が再感染リスクと疾患の経過にわずかながら影響したことが示された。

結論
SARS-CoV-2の再感染は2021年末まではまれであったが、オミクロンの出現により一般的になった。本研究は、健康な成人における再感染率の過小評価を浮き彫りにし、継続的なサーベイランスの必要性を強調している。

Dissecting the dynamics of SARS-CoV-2 reinfections in blood donors with pauci- or asymptomatic COVID-19 disease course at initial infection - PubMed.html
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
[2024.08.29 引用]
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38869944/

◆まとめと所感

オーストリアの研究です。抗N抗体調査は日本でも行われていますが、今回の研究では長期間のデータを用いて再感染率の分析までされています。

とりあえず、抗N抗体保有割合の推移は以下。

Figure 2.
[2024.08.29 引用]
https://doi.org/10.1080/23744235.2024.2367112

これを見るとオミクロンの感染波で一気に70%くらいになってる感じですね(2022年5月時点)。

ちなみに、日本の最近の調査だと同時期(2022年6月)で16.4%。全然違う。

国⽴国際医療研究センター職員における 新型コロナウイルスN 抗体保有率の推移|国立国際医療研究センター.html
[2024.09.02 引用]
https://www.ncgm.go.jp/news/FY2024/20240819085402.html

対象の年齢層の違い(オーストリア:18歳以上・日本:20代以上)で、オーストリアのほうが高く出てそうな感じはありますが、それでもこの結果だけ見るなら日本は結構スゴイかも。

◇◇◇

で、抗N抗体は感染後数か月減少を続けるらしいのですが、それでも高い水準を維持していることから『再感染率は88%』ということのようです。

なお『再感染の約26%は全く気付かれなかった』とのこと。他の研究を見てて30%くらいが無症状という印象があったので、だいたいそんな感じっぽいですね。それでも抗N抗体は上昇してるっぽいのでノーダメージかは怪しい。

ちなみに、以下のような分析もありました。

抗体の動態は年齢、性別、ABO血液型とは無関係であった。

性差や血液型による差異はあると思ってたんですが、無症状含む感染では結局差がない感じ。


◆おわりに

ということで、オーストリアでは抗N抗体保有割合が昨年末まで高い水準を維持し続けていました。(現在は不明)

再感染率は88%と推定されており、回数は不明ですが直近では当たり前に3,4回感染とかしてそう。そうなってくるといわゆるコロナ後遺症(long COVID)の影響は大丈夫なんでしょうかね。

軽く調べたところそれっぽいニュースはなかったので、それほど社会問題にはなってないかもしれないですが『Long Covid Austria』という専用サイトがありました。日本よりは先を行ってる感じ。

直近の日本の抗N抗体保有割合は高止まりしてる感じではないので、もしコロナ後遺症が大きく社会問題化するとしてもまだ先でしょうか。

そうならないことを願っていますが。

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