前回の記事で『満員電車の感染リスクは高くない』という仮説について確認しました。
その理由は『神奈川、千葉、埼玉の感染者数が全国平均以下である』という事実と『呼吸のみならウイルス排出量が少ない』という憶測に基づきます。
今回の記事ではその憶測の部分を掘り下げてみたいと思います。
◆呼気の感染リスク
SNSで呼気の感染リスク(ウイルス量が多い)について言及されているのを見たことがあります。
その際のソースは以下でした。一部抜粋引用し、所感を示します。
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このソースを以って呼気のリスクについて指摘されていましたが、見る限り呼気かどうかは不明です。
重要なのは『採集された検体には、呼吸、会話、叫び、咳の他、くしゃみによって排出されたものさえ含まれているのです』という部分。
これは純粋な呼気によるエアロゾルのみではないため、タイトルの『呼気中のウイルス量は多い』という部分がミスリードを誘ってますね。
◆呼気のエアロゾルサイズ
とはいえ、リスクがあるとされた『直径5µm以下の微細なエアロゾル』の発生状況(呼吸なのか会話なのか)は気になります。
ということで、呼吸で生成されるエアロゾルサイズについて確認してみました。以前引用したことのある論文から分布を以下に示します。
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上記は4名のエアロゾル分布ですが、結構バラつきがあります。
とはいえ、『Breathing(呼吸)』を見ると直径5µmのエアロゾルは普通に生じている可能性がありそうです。ただし、『Speech(会話)』『Cough(咳)』でも発生しています。
ということで『直径5µm以下の微細なエアロゾル』の発生状況は不明。
◆エアロゾル発生源とリスク
ただし、論文中で興味深い記述がありました。
それは『呼吸時のエアロゾル発生源』。
以下に該当箇所を引用します。
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上記によると『通常の呼吸時に主要な霧化部位である下気道』とある。
普通に呼吸している際の主なエアロゾル生成源は下気道(気管から肺胞)のようですね。なお、下気道は以下のような感じ
新型コロナにおける初期の感染部位は『鼻腔』『上咽喉』であることが判明していたと思います。
そのような意味で、呼気のリスクは『下気道』まで感染が拡がっていた場合に高く、無症状か感染初期であれば低いという推測が可能かと思います。
◆おわりに
ということで、満員電車の感染リスクが低い理由は『会話がほぼ無いこと』および『症状の進行した感染者が少ないこと』かもしれません。
とはいえ、感染時に活動を自粛するような雰囲気は徐々に無くなってきています。
私はコロナ以前から今に至るまで毎週のように映画を見に行ってますが、最近は普通に咳込んでる人がいる感じです。5類前は滅多にいなかったんですけどね。
そろそろ私も感染するかな。どうしたものやら。
皆さんもお気をつけて!