マスクの効果(排出抑制)は何時間くらいなのか?
どうもこんにちは。
マスクオタクです。
ちょっと前に『マスクの効果は2.5時間?』みたいな記事を書いた。
上で取り上げた論文は『2.5時間くらいでマスクの濾過機能が飽和してんじゃね?』って感じの論拠に使われてたりする。しかし試されたのは布マスクと謎の2層マスクで信憑性に乏しい。
マトモなマスクなら問題ないのか?と気になっていたが、参考になりそうな論文を見つけたので今回取り上げようと思う。
ちなみに論文の結論は、サージカルマスクで8時間なら問題ない、って感じだけど気になる点はある。
◆論文引用
該当論文から要旨を引用する。あとでまとめてるので飛ばしてもOK。なお、本記事中の引用部はすべて以下リンクから。
◆まとめ
研究では4種のマスクを対象に着用時間ごと、最大8時間の濾過効率(FE)が確認されている。
実際にヒトが着用したものを使用し、評価は内向き(吸入)と外向き(排出)の両方。濾過効率は粒子径と流量の異なる条件で確認されている。
結果としてN95とサージカルマスクは8時間で問題なし(微減)。使い捨てと布マスクは使用時間増による性能低下を疑わせる結果。
◆所感
大きく怪しい点は無さそうだが細かく見ていく。
まず、使用されたマスクは以下。
4種とも知らないマスク。とはいえN95とサージカルマスクなら性能は大体決まっている。おそらく構造も特別なものではないだろう。
サージカルマスクは規格(ASTM)に言及されていないが、Manufactureは医療関連っぽいので問題なさそう。
気になるのはSingle-use mask(使い捨てマスク)で、3層だがS-M-Sとは示されておらず一般的なメルトブローンフィルターマスクではなさそう。でもNonwoven clothなので不織布っぽい。正体が謎だが性能は低いのでフィルターの粗い不織布マスクと予想する。
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結果の一覧が以下。
傾向がわかりやすい 0.3μm の結果(左端)を拡大して抜き出す。
前述したとおり、N95とサージカルマスクは8時間で微減だ。濾過効率はほとんど低下していない。
ということで、冒頭で挙げた疑念(マトモなマスクなら問題ないのか?)については、8時間なら問題なさそうという結果。
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しかし、排出の場合は使い捨てと布マスクで明らかな性能低下が見られる。冒頭で示した別の論文の結果と矛盾しない傾向であり注意が必要だろう。
◆個人的な憶測
結果の注意点としてフィットテストが行われていないということが挙げられる。予想だがN95もサージカルマスクも漏れ率が高かっただろう。
漏れ率が高い場合フィルターの性能低下に与える影響は軽微であり、今回はその結果だったと予想する。
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逆に、濾過効率低下が見られた使い捨てや布マスクの場合、濾過機能が働いており微粒子の蓄積が結果に影響したと予想する。
濾過機能が働いている場合、使用時間分だけフィルターに微粒子が蓄積されていく。そのような蓄積された微粒子が試験による大きな流量で分離したと予想する。
理由としては、0時間の段階で吸入と排出の結果に結構差があること。そして、排出のほうが大きく性能低下していること。
◆おわりに
ということで、N95やサージカルマスクであれば『2.5時間でマスクが飽和する』ということはない。
ただし、低い漏れ率で着用した場合は異なる結果になるかもしれない。そのような研究が知りたいところ。
そして、布マスク等フィルターの粗いマスクは注意が必要かもしれない。
(布マスクに規格はないので、ものによって結果は全然変わるだろうけど)
マスクはTPOで有効活用したいものである。