マスクが匂いを減らすのは本当なのだろうか?
私はいまだにマスクをガチで着けているが、長い事そんなことをしていて不思議なのは『マスクを着けると匂いを感じにくくなる』ということ。この実感は人により異なると思うが私にとっては明らかだ。
で、なぜそれが『不思議』なのかというと匂い分子はとんでもなく小さいから。匂い分子なんてマスクで濾過出来る大きさではない、というのが一般的な認識だろう。
では、私がマスクで匂いを感じにくくなるのはただの勘違いなのだろうか?
今回の記事ではそのあたりをまとめる。
◆論文引用
まずマスクを着けることにより『匂いを感じにくくなる』というのは本当なのか。以下の論文によるとそれは正しそうだ。一部引用する。
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上記によると匂いの感じにくさは『N95>サージカルマスク>マスク無し』であり、マスクの気密性に伴うものだと推測できるだろう。
しかし、その理由については特に書かれていない。
他の論文も探したが匂いを感じにくくなる理由について明確な説明がされたものは見つからなかった。つまり、感じにくくなるのが正しいとして、匂い成分を濾過出来ているかは厳密に考えれば不明である。
◆匂いはマスクを貫通するのか?
一方、日本の記事では以下のように『マスクを着けていても匂いは伝わる』とするものもあった。
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一般的な匂い分子の大きさは 0.001μm 程度で、これはウイルスサイズの 1/100 程度。そのサイズ的な理由で『マスクのフィルターで捕捉することができません。』としている。
しかし、マスク(フィルター)は必ずしもサイズでザルのように濾過しているわけではない。それは活性炭フィルターについて考えればわかる。
◆活性炭フィルター
匂いの除去として活性炭フィルターがよく使われている。
マスクでも使われているが、そのようなマスクがN95とかN99とかよりも高い微粒子濾過性能を持つのかというと別だ。以下のマスクは匂い除去を主な目的としたマスクだが微粒子の濾過性能はN95より劣る。
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つまり、匂い除去はザル的な濾過とは異なるメカニズムが働いている。
(普通のマスクで微粒子の濾過でもそうだけど。)
活性炭による匂いの吸着原理は基本的に分子間力(ファンデルワールス力)によるものだろう。活性炭のような多孔質形状は体積あたりの表面積が大きく、軽い匂い分子を吸着する、ということ。興味のある方は調べてみて欲しい。
そして、この理論は普通のマスクでも程度は別にせよ成り立つはずだ。実際に一部のナノファイバーフィルターは分子間力による微粒子の吸着をアピールしており、繊維径が細い(体積あたりの表面積が大きい)ほど効果は高いと推測できる。
ということで、普通のマスクと活性炭マスクのTVOC濾過率比較などを論文で探したが、該当するものは見つからず。私の推測は推測のまま終わる。
◆おわりに
マスクによる匂いの減弱は個人的に明らかなのであまり調べてなかったが、調べたところ原理は割と不明なようだ。
とりあえず『匂いを感じにくくなる』については複数の論文で確認されていることから正しいのだろう。また、CS(化学物質過敏症)の方がN95マスクを利用し効果を実感しているようなので、実際に匂いの関連物質は濾過出来ているのだろうと推測している。
なお、個人的には『匂い分子が微粒子へ付着(凝集)しておりマスクはそれを濾過している』とも推測しているが、その根拠になるようなものは論文等では見られなかった。
まあ、理由はともかくマスクを着けることで匂いの影響を減らすことは出来るようなので、お困りの方は試してみるのも良いかもしれない。