深夜に津軽海峡を往復する話
はじめに
私は旅行が好きです。もう少し正確に表現するのであれば、
移動を繰り返すために結果的に旅行をすること
が、好きです。始発から終発まで公共交通機関を乗り継ぎ、終着地近くの宿で泥のように眠り、翌日も同じような移動を続ける「切れ目ない移動」が私の好む旅行です。金曜の夕方に会社帰りから旅行を始め、月曜朝に東京へ戻っている状況が理想的です。こうした旅程の着想は発作的で旅行中に幾度も変更を行います。
旅程立案
今回の旅行は土曜早朝に秋葉原を出発し、日本海側から同日深夜に青森へ到着する旅程を計画していました。翌日は異なる旅程(東北本線)で、やはり同じ程度の時間を要し深夜に東京へ戻る二日間の旅行です。当初は青森駅近くのホテルに宿泊する予定でしたが、旅行中に函館在住の友人から興味深い情報を入手します。
青森、函館間のフェリーは深夜も運行している。
早速、航路を調査します。確かに24時間運行されていることがわかります。青森に22時過ぎの到着を予定していましたので、はやぶさ15便に乗船し同船4便で戻ってくる航路であれば乗船できそうです。
立案からほどなく清水浩史の「深夜航路」でも同じ航路に乗船していたことを思い出します。著者のファンとして「これは旅程を変更するしかないな」と考え、予約していたホテルをキャンセルし(残念なことに当日キャンセルは100%チャージでした)電話でフェリーの乗船券を予約します。今回はここからの話です。
旅行金額: 4,560 円 (JR青森駅🚕青森港, および🚢運賃のみ)
旅行日数: 2019/3/16 から 2019/3/17 まで 2日間
旅程1: 青森 🚢 函館
時刻: 3/16 23:30 青森 🚢 函館 3/17 3:20
便名: 青函フェリー, はやぶさ 15便
金額: 1,600 円
[3/16 23:10] 青森側の青函フェリーターミナルです。3月中旬にもかかわらず、みぞれが降る寒い夜でした。路面は消雪パイプからの海水によって濡れています。写真奥に見える船舶が今回乗船する「はやぶさ」です。
はやぶさは乗り場から伸びる桟橋ではなく、自動車用甲板の横にある階段から客室に乗船するものでした。「客室入口」を示す白熱色の光や奥に見える水密扉が乗船した事実を印象付けます。造船まもないはやぶさの室内は新しく清潔でした。船内の様子は青函フェリーの船内紹介が参考となるはずです。
[3/16 23:40] 出港です。津軽海峡を挟んだ函館港までは直線距離でおおよそ100kmです。この航路を4時間ほどで横断します。往路と復路に若干の時間差がある理由は海流によるものと推測しています。同日、日本水路協会の津軽海峡付近の海流予想を確認すると西から東へ6-9km/hと予報されていました。
カーペット席のブランケットに丸まり眠りに落ちます。翌3:20、函館港に到着します。
旅程2: 函館 🚢 青森
時刻: 3/17 4:30 函館 🚢 青森 3/17 8:30
便名: 青函フェリー, はやぶさ 4便
金額: 1,440 円(復路は一割引)
往路と航路が同一ですので地図は割愛します。函館港の窓口で復路の乗船券を購入し再び同じフェリーに乗船します。北海道での滞在は約一時間でした。
[3/17 5:30] 津軽海峡の中央付近です。この日、函館と青森の日の出時刻は5:47でした。空が明るくなり始めています。煙突近くに北海道の函館山が見えます。
[3/17 6:30] 陸奥湾まで戻るとチンダル現象によって雲間から光の筋が見えました。遠くにはもう一隻、別会社の津軽海峡フェリーを認めます。
[3/17 7:30] 雪雲が北海道側から流れてくるのが見えました。
[3/16 8:30] 先行していた津軽海峡フェリーがすでに入港していました。先ほど見えた雲脚は早く既に空は鉛色に覆われています。春を予感させる湿雪が舞っていました。
これで津軽海峡往復の旅程は終了です。往復約10時間。青森付近で宿泊が必要になった際は、またこの旅程を辿りたいと考えています。
※ ノート中の航路を示す地図は、iSailorというアプリケーションからスクリーンショット取得したものです。地図上に引いた赤線は実際の航路ではなく大凡の航路であることをご承知おきください。