最近の記事

新しい写真機

 半年ほど利用したコンパクトを手放し、新しい写真機を迎え入れた。先週の金曜朝に届き、まずはディスプレイに保護フィルムを貼り、ロゴをマスキングテープで隠し、それからストラップを通し自分の写真機へと仕立てた。  写真機のストラップ、これは私にとって縁起物のしめ縄のような存在だ。「新しい酒は新しい革袋に」ではないけれど「新しい写真機には、新しいストラップを」という奇習を随分前から続けている。幸い、祀る神様にはまだ見放されていないようで、これまでのところ事故破損はない。  レンズ

    • 青春18きっぷで大阪を旅行した話

      はじめに  皆様は「青春18きっぷ」という切符をご存知でしょうか。これはJRが発行する特別なきっぷで、同社全ての普通列車が5日間分乗り放題になるものです。私は毎シーズン(春夏冬)このきっぷを買い求め、ダラダラと酒を飲みながら途中下車の旅行をすることを密かな楽しみとしています。今回もこの大好きなきっぷで旅行をする2泊3日の話を紹介したいと思います。  以下旅行記となりますが、他の旅行記同様に淡々と体験したことが並べてあります。緩い旅行の感じが伝われば幸いです。 2024/

      • 滑空機で単独飛行を終えた話 - 準備編

        はじめに 幼い頃、私は両親に連れられ浦安にある開園間もない遊園地を訪れたことがあります。四半世紀以上前の出来事で、その当時の記憶はほとんどありません。しかし、今でも一つだけ鮮明に覚えている体験があります。それは北海道から東京へ向かう際、飛行機の窓越しに見えた眼下の風景です。 と、私が心に決めたのはこの瞬間かもしれません。今回は随分と時間をかけ達成した滑空機での単独飛行(自動車教習に例えるのであれば、最初の路上教習でしょうか)までの練習体験記です。 概要: 費用: 790,

        • 三重、名古屋、それから掛川

          はじめに  妹とは不仲ではありませんでしたが、10年以上会う機会に恵まれませんでした。実家が北海道にあり、私は東京で働き、彼女は結婚を機に三重へ移住したこと、物理的な距離が主たる要因であったと感じています。  彼女は三重で二人の子供を設け、生活が落ち着くまで凡そ10年を要しました。(私には子育ての経験がなく、解像度の低い状態で想像するしかありませんが、乳児期から幼少期の子育ては過酷であることは想像に難くありません。)甥姪が小学校に上がり一段落したように見えましたので、彼女

          1981年の雑誌「図書」を読んだ話

          はじめに 出版社が発行する本の雑誌があることをご存知でしょうか。もしかすると書店のレジ横で見かけたことがあるかもしれません。雑誌ですので価格が裏表紙に印字されているのですが、場所によっては無償配布している場合もあり、通常の雑誌とは少し趣が異なります。  雑誌はA5サイズ、各号は100ページ前後、雑誌の半分は作家や研究者が数ページずつ記したエッセイが、もう半分は雑誌発行元の新刊紹介という構成が一般的です。21世紀初頭まではこうした本の雑誌は主要な出版社から発行されていましたが

          1981年の雑誌「図書」を読んだ話

          文学フリマ広島に参加した話

          はじめに 残念なお知らせがあります。当記事は「文学フリマ広島に参加した話」という題名ではありますが、文学フリマについてはほとんど触れられていません。冬の広島といえば牡蠣。中年男性が昼間から酒を飲み、牡蠣を炭火で炙り、レンタカーを借りドライブをするだけの旅行記です。  以下旅行記となりますが、他の旅行記同様に淡々と体験したことが並べてあります。緩い旅行の感じが伝われば幸いです。 1. 羽田から広島へ 航空会社からは事前に「当日の羽田空港は混雑する」とSMSで連絡を受けていま

          文学フリマ広島に参加した話

          旅行記同人誌を作成した話

          はじめに  この記事は旅行記同人誌を作成した体験が記されています。必須ではありませんが、「コンテナ船で旅行をする話」または同人誌をご存知であることが前提です。主な対象読者は以下の通りです。 記事は目標・準備・作成・頒布の4章から構成されています。目標から作成まではよくある作成記録ですが、頒布は通常の同人誌とは異なる方法を採用しています。頒布形態を検討されている方は参考になるかもしれません。 では、本題に入りましょう。 目標 私には同人誌を作成する上で目標が2つありまし

          旅行記同人誌を作成した話

          同人誌 「貨物船で太平洋を渡る」

          お知らせ note記事「コンテナ船で旅行する話」を下地に、技術的な要素を省いた同人誌「貨物船で太平洋を渡る」を自費出版しました。同人誌は以下書店にて購入いただけます。いずれも個性的で素晴らしい書店ですので、お近くにお住まいの際は是非お立ち寄りくださいませ。(書店名敬称略・納品日時が新しい順番に並べています) - 最終更新日2024/09/22 「貨物船で太平洋を渡る」63ページ・フルカラーオフセット印刷 取扱い書店バックパックブックス 〒156-0041 東京都世田谷区大

          同人誌 「貨物船で太平洋を渡る」

          コンテナ船で旅行をする話 - 本編

          はじめに  あなたの職場にある日、 と通達が入ります。当日おかしな英語を喋る中年男性が職場に現れ、特に仕事をする様子もなく、ふらふらと職場を歩き回り時折奇妙な質問を投げかけてきます。迷惑ですよね、私もそう思います。今回、私はこの中年男性「招かざる来賓」としてコンテナ船に乗船しました。 幸いにも船員の方々は温かく迎え入れてくださり、私は不自由なく船上での生活を送ることができました。毎日食事を共にし、興味深い話を聞き、普段は立ち入れないような場所を見学する機会も与えられまし

          コンテナ船で旅行をする話 - 本編

          コンテナ船で旅行をする話 - 待機編

          ⚠️ この旅行は世界情勢が急速に変化し、国・地域間での移動が制限される以前に計画、実行されたものです。渡航時点ではオーストラリアへの出入国規制・勧告は発表されていません。(2020/2/2 - 2020/2/7) はじめに  残念なお知らせがあります。当記事は「コンテナ船で旅行をする話」という題名ですが、コンテナ船乗船までのブリスベンで過ごした5日間のお話です。中年男性が昼間からビールを飲み、ウォンバットを見にいくだけの旅行記です。コンテナ船の旅行のみに興味がある場合は本

          コンテナ船で旅行をする話 - 待機編

          コンテナ船で旅行をする話 - 準備編

          はじめに  数年前から船舶に対して興味が高まり、小型船舶免許や無線資格の取得、国内や海外航路を走る貨客船への乗船を体験しました。これらのイベントを通じて自身の興味が海運へ向かって行くことを感じていました。特にコンテナを中心とする流通は私の心を掴んで離しませんでした。 コンテナ船に乗船出来ないものだろうか。 今回はこうした興味から始まるコンテナ船で旅行をするお話です。旅行手配がやや煩雑である為、記事を準備編、ブリスベンでの待機編、本編に分けています。旅程を組み立てる工程に

          コンテナ船で旅行をする話 - 準備編

          香港を訪れ、友人とビールを飲む話

          はじめに  特別な理由がなく「ちょっとビールでも飲もうか」と誘える友人はいますか。私は何人かの友人を思い浮かべることができます。 Can we grab a couple of 🍻 今回は、友人とビールを飲むために香港を訪れ、帰りにバンコクへ立ち寄ったお話です。「とびきりの風景で、とびきりのビールを飲む話」同様、中年男性が香港で適当なものを食べビールを飲むだけの旅行記です。 ※ 今回、文章に登場する友人は、数年前香港の仕事で知り合った元同僚です。生粋の香港っ子であった

          香港を訪れ、友人とビールを飲む話

          小さな船の免許を取得する話

          はじめに  数年前からフェリーや高速船への乗船を目的とした旅行を繰り返していました。こうした旅行を重ねるたび、自身の興味対象が乗船自体から海上交通に於ける決まりごと、操船、航法へ移っていくことを感じていました。より端的に表現するならば、 という小さな仮説から一連の行動が開始されます。今回は私が数ヶ月を要して体験した小さな船の免許を取得するお話です。 1. 船舶での通信手段 手始めに、海上での通信手段を整えようと日常生活で役に立たないであろう、海上利用のための無線資格の勉

          小さな船の免許を取得する話

          種子島でロケットの打上げを見る話

          はじめに  職場の前所属先に特殊な理由によって旅行を繰り返す友人がいました。もし、何らかの分類が必要ならば彼は「追っかけ」というジャンルに属するのでしょうか。 ロケットの打上げは、いいぞ。 今回は彼の力強い言葉で種子島を訪れた「ロケット打上げの追っかけ話」です。 旅行金額: 約 70,000 円(東京✈️鹿児島の往復航空券, 現地での食費除く) 旅行日数: 2018/6/8 から 2018/6/14 まで 7日間 ※ 記事中では同行する友人を「教授」と表記します。何

          種子島でロケットの打上げを見る話

          とびきりの風景で、とびきりのビールを飲む話

          はじめに  とびきりの風景に出会うきっかけは通勤途中で目にした広告でした。広告には大きなダムの写真と共に「立山黒部アルペンルート」というコピーが配されています。写真はまた雪をたたえた山々も写っていました。過酷にパックされた通勤電車の中で広告はとびきり素敵に見えました。 この風景を見ながらビールを飲もう 私は強く決心し残りの通勤時間をやり過ごしました。今回はそのように準備を始めたとびきりの風景とビールの話です。 旅行金額: 37,810 円(新宿-室堂の交通費, 宿泊費

          とびきりの風景で、とびきりのビールを飲む話

          深夜に津軽海峡を往復する話

          はじめに  私は旅行が好きです。もう少し正確に表現するのであれば、 移動を繰り返すために結果的に旅行をすること が、好きです。始発から終発まで公共交通機関を乗り継ぎ、終着地近くの宿で泥のように眠り、翌日も同じような移動を続ける「切れ目ない移動」が私の好む旅行です。金曜の夕方に会社帰りから旅行を始め、月曜朝に東京へ戻っている状況が理想的です。こうした旅程の着想は発作的で旅行中に幾度も変更を行います。 旅程立案 今回の旅行は土曜早朝に秋葉原を出発し、日本海側から同日深夜に

          深夜に津軽海峡を往復する話