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新しい写真機
半年ほど利用したコンパクトを手放し、新しい写真機を迎え入れた。先週の金曜朝に届き、まずはディスプレイに保護フィルムを貼り、ロゴをマスキングテープで隠し、それからストラップを通し自分の写真機へと仕立てた。
写真機のストラップ、これは私にとって縁起物のしめ縄のような存在だ。「新しい酒は新しい革袋に」ではないけれど「新しい写真機には、新しいストラップを」という奇習を随分前から続けている。幸い、祀る神様にはまだ見放されていないようで、これまでのところ事故破損はない。
レンズは社外製の広角を選択する。近似スペックの純正には手が届きそうもないためだ。(純正レンズの消費税分で今回のレンズが買える程度の金額差がある)コーティングは飴色で、かつて利用していた古いレンズを彷彿とさせる色合い。逆光に弱く、標準コーティングよりややハレーションが出やすい古風な設計のようだ。
写真機は昔ながらの光学ファインダーである点も、操作系がすべてダイヤルで済む点も、フィルム写真機で慣れ親しんだ感覚と何ら変わりがなかった。一通り確認を終えると、古い友人に久しぶりに会ったようなくすぐったい感じだけが体に残る。
90年代後半、写真雑誌の広告欄にあったこの写真機が高校生の私にとっての憧れであった。それから四半世紀を経て、こうして新品の後継機を迎え入れられることは、控えめに表現しても幸せなことだ。
昨日は暗い夜道で何枚かシャッターを切ってみたけれど、どれもフォーカスが合わなかった。それもまた愛らしい。少しずつ、この写真機に慣れていこうと思う。