将棋:四段になるための地力の付け方(序中盤編)
前置き
こんにちは!lemon sourです。僕は、大学の将棋部に入部する前は二段程度でしたが、将棋を毎日取り組んで、将棋倶楽部24で四段になり、大会で結果を残すほどに成長しました。この記事では、僕の将棋の勉強のやり方を反省し、改善点を踏まえ、四段になるための実力の付け方を提案します。(なお、僕がすべて実践したというわけではないので成果は保証できない)
これまでの経緯
改善した勉強法を提案する前に、まず、自分がどのように棋力を伸ばしたのかを紹介します。二段になるまでは、とにかく詰め将棋でした。定跡書を読破したことは全くありませんでした。おかげで、将棋倶楽部24(以下24と略す)では、レートがMax1700程度であるにもかかわらず、将棋クエストの詰めチャレはMax2300を超えていました。そのため、定跡書と棋譜並べをすると、半年ほどで24で最高レートが1900を超えました。それからさらに4ヶ月程度で2000点で安定、月に1回は2100に上がるほどには成長しました。しかし、終盤を疎かにしていたつけで逆転負けが多くなったので、終盤の勉強に取り組み、さらに、チャンスを逃すことも多かったので、次の1手問題を解きました。すると、約1年で2100に安定するようになりました。
将棋の強さの要素
前提として、将棋を強くなるためには、将棋が強い人の特徴を知っておかなければなりません。将棋が強い人の特徴を挙げてくださいと言われると、皆さんはどのような人をイメージするでしょうか。僕が思いつく限りでは、深くよめる人、速くよめる人、知識が多い人、チャンスをしっかりものにする人、ミスしない人、指し手に理屈がある人、感覚が鋭い人等ですね。つまり、将棋を強くなるためには、これらのことができなければならないということです。
指し回しについて
勉強法の前に、序盤、中盤についてどのように指すのかについて触れておきます。それらのことを念頭に棋力向上に励みましょう!!また、終盤は速度が大事で詰め将棋力がものをいうので終盤の指し方については省略します。
序盤の指し方
まず、序盤について語りたいと思います。前述したように、僕は終盤特化型ではありますが、四段になるために必要な最低限の序盤力は身につけているつもりです。なので、その序盤力について伝授していきたいと思います。僕が大事にしていることは、2つあります。(1)自分の陣形の特徴と相手の陣形の特徴を言語化すること、(2)相手の駒組みの不備を突くことです。順番が前後して申し訳ないですが、(2),(1)の順で説明します。まず、相手の駒組みの不備の突くことについては、言葉通りで具体例を提示しなくても理解できると思うので、簡潔に説明すると、定跡書でいう「~となり有利」と書かれている手順を指すことです。次に、(1)について、相手の陣形のメリット・デメリット、自分の陣形のメリット・デメリットを把握するということです。それをすることによって、中盤以降の指し手の方針が定まりやすくなり、悪手を指す確率が低くなります。では、どのようにするのかを具体例を用いながら説明したいと思います。
例えば、図1ですが、こちらは玉と下段の金をどのように配置するかによって、この後の進行が大きく変わります。例えば、4八金型にすれば、バランス陣形で、3七の桂にひもがつくというメリットがある一方、割り打ちの銀に警戒しなければなりません。そのため、2九飛もセットですが、手数がかかる(デメリット)ため、相手が機敏に動いてきたとき、注意が必要です。 また、5八金型で玉の位置が6八だと、相手からの上部からの攻めにあたりが強いというデメリットはあるものの、こちらが飛車を渡しても、一瞬はZなので、穴熊感覚で厳しい攻めさえつながれば勝ちという展開に持ち込めるというメリットがあります。6九玉型だと上部から攻められたときに、あたりが弱まっていて、角の攻めに強いというメリットはあるものの、飛車の攻めには弱いです。同様に相手の陣形にもそのような感じで分析します。分析をするときに、居飛車であれば、大まかな囲い・戦型に加えて、玉と右金の位置に着目すれば、分析しやすいです。振り飛車であれば、右金に代えて左金に着目します。また、駒組みをする際のコツとして、理想型を持つこと、一手一手の意味を考えることが挙げられます。定跡書を読む際、あるいは、棋譜並べをする際は、そこも注意したいです。
中盤の指し方
中盤は序盤の思考にプラスして、形勢判断力が問われます。形勢判断をし、方針を定め、その方針に則った指し回しをすればよいでしょう。形勢判断で大事な要素は、玉形・駒の損得・駒の働き・速度(手番)です。それらを判断材料に、一般的に、将棋の指し手は、次の4通りに判別することができます。
(1)自分の陣形の長所をさらに強める
(2)自分の陣形の短所をなくす
(3)相手の陣形の長所をなくす
(4)相手の陣形の短所を作る
以上の4通りの手がない場合、自分にとって悪くならない手を指すことになります。形勢判断の結果を参考に、方針を立て、これらのいずれかの手を指していきます。
具体的にどのようにするか見てみましょう。図2は相雁木で先手早繰り銀に対し、後手腰掛け銀(便宜上先後逆)で手番は相手です。相手が5三銀と引くと、こちらは4五歩から仕掛けることができます。よって、相手の6四の銀は攻めに使うという前提のもと話を進めます。この局面について分析すると、双方ともに囲いは一緒なので、相手の6四の銀のさばき具合(駒の働き具合)が勝敗に直結します。具体的な指し手を述べると、相手が7五歩と仕掛けたタイミングでこちらが6五歩と指し、6四の銀をさばかせないようにするといった感じです。さらに分析すると、もし、お互いの角道が開き、角交換をしたときに、こちらは打ち込むスペースがないですが、相手は7一に打ち込むスペースがあります。また、こちらは3七桂と右桂を活用しているのに対し、相手は桂が活用できていません。したがって、相手は7三桂と指してきます。この手は、こちらから6五歩と指すのを防ぐ目的もあります。つまり、相手は自分の陣地の短所を消しつつ、自分の陣地の長所を作ったことになります。対して、こちらは、早速仕掛けると、相手から3五歩と反撃されてしまう可能性があります。また、後手番ということもあり、相手からの攻めに対してカウンターする方針で指します。つまり、待機策をとるということです。具体的には、2九飛や7九玉です。この手は自分の陣地の短所を消す目的です。
上の例では簡単なものを見ましたが、複雑な例になると、こちらの陣形は乱れるもののそれ以上に相手の陣形が乱れるので、総合的に判断するとこちらの方がよいといったケースも現れます。そこの判断は経験によるものも多いので、局後の検討もしっかりやる必要があります。
勉強法
序中盤については、前述したことを意識しながら棋書を読みます。僕がやるのは、まず、入門書を読みます。レベルは1手ずつ解説する○○シリーズです。それを熟読してからある程度専門的な内容のことが書かれた本を読みます。最後に棋譜並べをします。棋譜並べをするときですが、終盤は並べないことをおすすめします。というのも、最後まで並べると、序中盤をどのように指せばいいのかという肝心の内容を忘れてしまいかねないからです。それにプラスで手筋本を読んでます。四段を目指すならば、それなりに難しいやつと思われるかもしれませんが、逆です。簡単なものを完璧にかつ迅速(一問2秒程度)にできるようになるまで繰り返します。また、二・三段で四段を目指す人は、意識することは、手筋本で自分の指さない戦型に関する問題が現れたときに、自分には関係ないと飛ばすのではなく、自分の知らない価値観を採り入れられるというように前向きに取り組むことです。僕は24で2000点に達し、四段になるために最後に手をつけたのが基本の徹底でした。もっと早くやっておくべきだったと後悔しているくらいです。
おすすめの本
次の一手で覚える序・中盤の手筋436
現代将棋の基本手筋432
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