誕生日に。

7月11日は、姉の誕生日だ。次に時計の針がてっぺんを超えたら、18トリソミーという染色体異常を抱えて生まれ、生後3ヶ月でこの世を去った姉は、19回目の誕生日を迎える。
だから何だというのだろう。変にむず痒くて、どうしようもなく胸の奥が淋しくなる。誕生日は「特別な日」じゃない。「特別にするべき日」だ。何も聞かず、ただ一緒にお祝いしてくれる人が欲しい。誰でもいい。姉の生きた夏に自分だけがいなかった負い目も手伝って、家族とは気詰まりなんだ。
それでも祝いたいんだ。大事にしたいんだ。彼女の存在は、僕のいのちを形作る大切なピースだから。

たった今、日付を越した。
姉さん、誕生日おめでとう。貴女が生まれてきてくれて、貴女のいのちを生きたこと。ありがとう。貴女の弟であることを、心から誇りに思うよ。
愛してるよ。

ああ、今夜は、眠れそうにないな。

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