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檸檬
2022年9月23日 23:31
しくしくと泣く女神ルーナにナナシは激しい高揚感を抱いた。鼓動がどくどくと跳ね、世界中の全てが美しく思えた。そしてこの一等美しい生き物の涙を拭い、笑って欲しいと思った。泣いていてもこんなにも美しいのだ。笑った顔はいかほどであろうか。そう思いながら、ナナシは嘴で咥えた星の欠片がいつぱいの籠を取り落とし、ふらふらと近づいて行った。この美しい人の周りは、しかして一羽も梟がいなかつた。女神が地に降りてきただ