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檸檬
2024年1月31日 23:53
「千のおかげで俺たち助かったんです」父役どの、兄役どのと揃って湯婆婆に頭を下げる。だが俺ァそういいつつも胸の奥に何かが引っかかていた。助かった。確かに助かったのだ、俺は。得体の知れねェ客の腹の中から出てこれたのは千のおかげだ。だけど、少しだけ。ほんの少しだけ、まだあの腹の中に居たかった。 あの得体の知れねェ客はカオナシだという。 アイツの腹ン中に一番最初に入ったのは俺だった。だからなのか