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【読書記録】ただ君に幸あらんことを
「ただ君に幸あらんことを」 ラランド ニシダ著
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お笑いコンビであるラランド ニシダによる2作目の小説。
「国民的未亡人」と表題である「ただ君に幸あらんことを」の2作品で構成。
「国民的未亡人」
こちらは誰もが知るスター俳優であった夫が没後三年の追悼番組に出演することになった妻の話です。
最初は夫を偲ぶ妻の話かと思いきや、ただそんな単純な話でもなく。
話しが進んでいくごとに緊張感が増していき、どんどん読み進めてしまいました。
自分が見たかった相手と、自分にそう見せていたかった相手と、周りから見えていた相手と。どれも本当でどれも嘘に見えるということなのかな。
ミステリー・・?と思えるような作品でした。
「ただ君に幸あらんことを」
大学受験期に僕が母から受けてきた酷い仕打ちを、今は六歳下の妹が受けている。
一人暮らしの家に妹を避難させ、母との間に入って守ろうとするが、僕自身の傷がうずき出していた。
一浪の末大学に入学し社会人になった兄と、大学受験を控える妹の話。
これは読んでて辛かった。胸がギュッとなる。
子供に過度に期待し受験に熱中する母親と、仕事ばかりで子供の教育は母親任せな父。
描写が細かく丁寧で巧いだけに、よりリアル。
歪んだ愛され方しかされないと歪んだ愛の返し方しかできないのかと思いました。
また、作者であるニシダもこの話と同じ家族構成。
彼自身も一浪の経験あり。(彼はその後2度中退していますが・・)
家族仲は不仲であり、なにか自身の経験も投影されているのかな?
書くことでなにか昇華されていたらいいなとも思いました。
元々私はお笑いコンビとしてのラランドのファンです。
Youtubeは全更新分視聴し、ラジオも毎週3番組聴き、
単独公演にも足を運び、配信チケットも買える時は買う程度ですが・・・。
お笑いコンビとしての彼は、相方のサーヤに比べとてもルーズ。
異性関係も奔放(?)であり、この小説も8か月も〆切を踏み倒したという所謂クズ芸人の立ち位置。
ですが、小説の内容はまっすぐな純文学。
「え?この作品を彼が?本当に」という不思議な読後感。
実はまだ1作目の「不器用で」を読んだことはないので読んでみようかな。