2023-2024のリーグ決算報告まとめ
1.2016~2024を数字で振り返る
2.営業収入について
2016-2017(Bリーグ初年度)は、BREXが大きなスポンサー収入がなくともリーグ最高クラスの入場料収入で営業収入は他チームと戦えていました。
しかし、2019-2020にA東京がトヨタ自動車を中心とするスポンサー収入で10億を突破し、それと競うようにMIXI子会社の千葉Jも増額。2チームがスポンサー収入を大きく引き上げます。A東京は2021-2022にはスポンサー収入(16億)のみでBREXの営業収入(14億)を上回り、2022-2023以降は20億超となりました。
三菱電機系列の名古屋ダイヤモンドドルフィンズも2018-2019以降スポンサー収入は上位4位以内に入り、2023-2024は12億超。
これらのことから、大企業をスポンサーに持つチームは入場料収入が振るわずとも営業収入が増加しています。
一方で琉球は2021-2022に沖縄アリーナ完成により入場料収入が7億超。2023-2024には12億超となりました。
大企業がスポンサーについているA東京・千葉J、8000人以上入るアリーナが毎試合満席近くになる琉球は2023-2024には営業収入が30億を突破しました。
BREXは大企業がスポンサーにつかない限り営業収入が30億を超えるのは厳しいかもしれません。ただ、BREXのファンは入場料収入(チケット収入)で大きくチームを支えています。
上の表は、左側に代表的なチームの最も高い席を2024-2025のHP記載より抜粋しています。右側には2023-2024のリーグ発表のデータとそれより導いた数字を記載しています(リーグ公表は入場料収入と平均入場者数。平均入場者数に30をかけて合計入場者数を求めています。入場料収入を合計入場者数で割ることで1人当たりの入場料(チケット)平均単価を求めています)
※Bリーグはダイナミックプライシング制を採用しているため、各チームのHPに記載の標準価格より実際の価格が高い場合があります。また対戦カードにより標準価格が変わる場合、最も高いケースを記載しています。
BREXは「1人当たりの入場料平均単価」が5580円で最も高いです。私はこの数字はすごいと思っています。高い席をみると、B.PREMIER参入が決まっているチームは単価が1万6000円を超えています。BREXはコートサイドSS1列目が2万8600円ですが、これより高いチームも幾つかあります。各チーム入場料収入は最大化したいはずです。値上げをしても良席(サイン会の特典等がある)が売れるのであれば、良席の値段は上がっていきます。
その一方で2階席や立見席の単価は上げにくいでしょう。会場の中には高い席と安い席があります。BREXは高い席・安い席が混合していても、ファンは平均して「5580円」払っているのです。チケットの値段が高いのは事実ですが、選手の人件費は毎年高くなっています。入場料収入がBREXを下支えしているといえるでしょう。そして、BREXの試合にはそれだけの価値があると思っている方がいるということです。
ちなみに、「1人当たりの入場料平均単価」はチケット価格のばらつき以外に、「招待席」(無料の席)によっても下がります。B.PREMIER加入条件である平均動員4000名のために招待席をばらまいた場合、大きい会場では一定数の有料顧客がいるため入場料合計はそれなりの数字になりますが、平均単価を求めると実態が少し見えてきます。
Bリーグではチームの経営が赤字になると来年の所属カテゴリの審査に影響します。そのため、営業収入>営業費用となる必要があります。試合開催にかかる経費やグッズ販売経費等を差し引いた金額がトップチーム人件費の原資となります。
3.トップチーム人件費について
BREXは営業費用の40%程度を人件費に充てていますが、2章の通り他チームの急激な営業収入増加についていけない時もあります。
多額のトップチーム人件費が必ず良い成績を残すとは限りませんが、CS出場チームのトップチーム人件費は年々増加しています。
トップチーム人件費は選手とコーチ陣の人件費の合計です。
より良い外国籍をNBA等から連れてくる、優秀な帰化選手・アジア枠選手・日本人エースを他に引き抜かれないよう魅力的な契約を提示する、優秀なヘッドコーチを海外から連れてくる、コーチを数多く雇い細やかなスカウティングや若手育成を実現するetc…お金で実現できることは多いかもしれません。
BREXは強豪チームと比べて、コーチ陣は3人ほど少ない状態で戦っています。おそらく1人当たりの仕事量はとても多く、常勝を求められるチームで心理的負担も大きいと思います。個人的には感謝の思いしかありません。
その一方で2026-2027 B.PREMIER開幕後のサラリーキャップも考慮しなければなりません。
B.PREMIER初年度のサラリーキャップは以下の通りです。
・上限8億、下限額5億(選手のみ)
・スター選手条項:シーズン開幕時点の
リーグ登録選手のうち、1.5億円
以上のクラブ内最高額での契約となった
選手1名を、サラリーキャップ
制度においては1.5億円(消費税別/
その他税込)の計上とする
BREXの2023-2034のトップチーム人件費は9億7106万です。Bリーグは選手及びコーチの人件費は非公開のため、スター選手条項を使って選手のみの人件費の合計が8億に収まるかどうか分かりません。
サラリーキャップ8億を意識しないと、B1時代に多くのお金を選手に注ぎ込んでもB.PREMIER開幕のタイミングで8億に収まるようにするため選手を手放すことになるかもしれません。
4.選手構成について
BREXは初年度優勝後、主要な選手を継続しました。2016-2017から7年経過し、選手層の高齢化が進んでいます。
2026-2027がB.PREMIER開幕初年度ですが、その頃にはエースの比江島選手も36歳です。
しかしながら、BREXのベテラン選手には多くの経験があり、個人人気も高いです。2023-2024に喜多川選手が移籍しましたが、喜多川選手の移籍がきっかけで越谷のファンに切り替えた人もいるかもしれません。
B.PREMIERに向け、今後もベテラン選手の入替は進んでいくと予想されます。
ここで誤解されることも多い特別指定等の枠について解説します。詳しくはBリーグの規約を確認ください。
5.市民球団の継続か子会社化か
チームが大企業の子会社となればスポンサー収入の増加により営業収入が増え、チーム人件費の原資を増やせるかもしれません。
しかし、特定の会社の子会社となると親会社の意向に従う必要があり、ファンが望む運営にならない可能性があります。
栃木県中の企業で応援しファンがチケット収入で後押しする宇都宮BREXだからこそ、運営はファンの心情を考慮しつつ少しずつチームの変革を進められるのかもしれません。
6.新アリーナについて
宇都宮BREXは「民設民営」で新アリーナを建設する方向です(2022年6月30日下野新聞報道)。場所はLRT沿線に立地し、市体育館に隣接する「宇都宮東公園」が候補地となっています(2023年9月7日下野新聞報道)。
新アリーナに関する考察は以前地方創生と絡めてかなり詳しく考察していますので細かい話が苦にならない方はぜひ一度目を通してみてください。国が推し進める方向とBリーグが一致していて、2024年にB.PREMIERの審査を設けた必然性が分かります。
7.BREX NATIONの皆様へ
宇都宮ブレックスの強みはファンの強烈なサポートだと思います。ニュービル・比江島・ギャビン選手の今季の人件費は決して安くないと思います。
(昨季のMVP+ベスト5のニュービル、昨季3P王+ベスト5の比江島、替えが効きにくい帰化選手のギャビン選手は3人合わせて少なくとも5億は超えていると予想)
運営会社もスポンサー収入が毎年増額となるよう奔走してくれていますが、ファンはチケットやグッズの購入でチームを応援できます。
レギュラーシーズンでは4500名程度(CSでは人件費をかけてレイアウトを変更しもう少し増えると予想)しか入らないブレックスアリーナ。既存の席のチケットが完売状態にならない限り運営としては追加席の販売には踏み出せないはずですので、水曜ナイトゲームも含めて毎試合追加席・立見席が満員となれば新アリーナの設立につながると思います。
シーズンチケットでダイナミックプライシングの影響を受けない人は行けなくなったら公式リセールを利用して空席を防ぎましょう。公式リセールが利用できるよう、なるべく紙チケットは利用しないことをすすめます。
動員が落ち込みやすい水曜ナイトゲームはWAKU WAKU TIMEと題して運営も工夫を凝らしています。ポスターを無料配布するなど入場特典が多いのが水曜ナイトゲームです。
B.PREMIERに向け選手の入替は進めざるをえないはずです。今季在籍した選手が来季もいてくれる保証はありません。移籍・引退は選手の権利です。現時点で35歳以上の日本人選手は特にそう思います。
地区優勝できれば、CSをホーム開催できます。昨季入場料収入が8億に迫ったのも日環アリーナで3試合QFを開催できたからと推測します。
1試合でも多く満員のアリーナでBREXを応援し、地区優勝でCSをSFまでホーム開催、そしてCSが優勝できれば入場料収入が10億に迫り、営業収入を20億に近づけることは不可能ではないと思います。
新アリーナの続報を待ち、今年もBREXを応援しましょう!GO BREX!!
以上