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慢性痛とか学習性無力感とか

鍼灸院には痛みを抱えた方たちが多くこられるが、中には一発で治してくれとばかりに来院されてやっぱりダメかと、「どうせ何をやっても治らない」というのを学習してしまい、無力感に陥るパターンがあるように思う。
learned  helplessness 学習性無力感

セリグマンは実験でどんな行動をとっても電気ショックから逃れられない環境に長く居続けるようにされた犬がしだいに、逃げられる環境になっても電気ショックを回避しなくなってしまうという結果を述べた

これは人間にもあてはまり、失敗やうまくいかないことばかりだと意欲がさがり無力感におそわれる。
うつ病へもつながりやすいと考えられている。

確かに、自分自身の経験にも当てはまる。

治ろうとするモチベーションが落ちてしまい治るものも治らなくなってしまうのはよくあるあるなのだ。

さて心理学の「学習理論」というのがある。


レスポンデント条件付け

餌がでるー唾がでる

ベルが鳴るー餌がでるー唾がでる

ベルが鳴るー唾がでる

に反応が変容する

という結果をえるというのだ。
パブロフの犬である

オペラント条件付け

箱の中のネズミとレバー(押すと餌がでる)
はじめは滅多に押さないのがだんだん押す頻度が増えてゆく。
スキナー箱の実験だ。

これ「学習」なのかな?と調べると他に
条件付けでは説明できない学習として認知的な学習、トールマンのネズミの迷路実験やゾーンダイクの試行錯誤やケーラーのチンパンジーの実験による全体、ゲシュタルト的な洞察というものがあった。

このへん
たとえば子供への教育でも条件付け学習観では賞とか罰で動機付け(外発的動機付け)と
問題の全体構造を理解したり、「わかる」という認知や知的好奇心や達成感を重要視した(内発的動機付け)とにわかれるのは面白い。

条件付け学習はどこか馬の調教や訓練のイメージがわく。
それもそのはずで、行動主義の学習観はS−R、刺激と反応の連合理論と呼ばれ人間の高度な学習もこれに還元できるといっちゃってるのだ。

いやいやそうじゃないでしょうと全体を洞察してその構造をわかった!ひらめき!みたいなゲシュタルト的な学習もあるだろうと行動主義の連合理論に対して認知理論というのが台頭してきた経緯があるらしい。そりゃそうだ。

他にパンデューラーの観察学習、モデリングというのもある(詳しくは書かないが子供がテレビでみたことを真似したりするやつかな)

さて学習性無力感の話に戻ってではどうすればいいのかと調べると
結果の知識とフィードバックといって、正解(一生治らないことはない、治る人もたくさんいる)をフィードバックして修整。
転移の理論といって前の学習が後の学習に影響を及ぼす理論があり、得意な動作や動きから動きを良くしていくとかはありかも。
あとはシェイピングといって一気に良くしようとせず段階的にすすめていくのもいいだろう。
もちろん前にも書いたけれどメタ認知をうながす、客観的に自分をみる意識をもってもらうと学習はさらにすすむ。

行動を実際に変容する学習というものについてはまだまだ考えていきたい。


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