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生成AIぢゃないほうのAIについて語りたい法務の話

〜 これは 12/12の 法務系 Advent Calendar 2024 エントリー記事です 〜

12/11担当の Masatoshi Adachi ../.. 足立昌聰 さんからのバトンを受け取りました!Advent Calendar初参加ではありますが、小さなAI会社の法務をしてみて思ったことを書いてみようと思います。



みなさん、生成AI使ってますかー?✨

IT界隈ではお祭り騒ぎが始まり、日本語LLMの開発も意外とはやくて、これはもう私の目の黒いうちにシンギュラリティがきてしまいそうだ!!
… と思ったのに、まだ日本では90%が「使っていない」という統計を発見。(情報通信白書 令和6年版

... 伸び代がすごい笑 👶

生成AIの利用状況(各国比較)
もはや古すぎる情報かもしれない今年1〜2月のネット調査。


こうした背景があるせいか、ちまた(主に書店?)では「AI=生成AI」のような雰囲気を感じています。
今回は、生成AIじゃないAIもあるよ!🤖 こういうの知ってほしいよ!💪 と思い、テーマに取り上げてみました。
なお、「生成AIぢゃないAI」とは、機械学習のAIを意図してます。

🤖 AI開発の流れ

雑な分類になりますが、発注企業からAI開発に関する相談は、だいたい5パターンくらいな気がします。

  • いつもやってることを高速&正確に実施したい

  • 感覚的なものを見える化したい(定量化したい)

  • 提供サービスに付加価値をつけたい・他社と差別化したい

  • もっとエンドユーザの利便性を向上したい

  • 社内のAI活用プロジェクトに入ってほしい

よく話を聞くと「それはAIを使わずに実現できるのでは」という案件も結構あるようですが、(現在の技術ではまだ)夢物語という案件も混ざっていることも少なくないようです。


そして、実際のAI開発は、時系列に以下のステップで進みます。
上記のような要望を実現するには、正解のデータを集めて教師あり学習をすることが多く、AIで予測・推論や、画像分析などをします。

  • 依頼企業の課題ヒアリング

  • まずはやってみる(PoC)

  • 本格開発に着手する

  • 追加学習をする/AIモデルを利用する/作ったモデルの保守をする

すべてが最後まで行くかどうかは、発注側の目的と予算にかなり影響されます。いわゆる「PoC貧乏」になる案件もいまだ多い一方で、素晴らしい精度が出ても、突然開発中止になることもあります。

オープンイノベーションの促進を目的にした モデル契約v2.0の解説パンフレット(AI編) にも同様のステップが図解されていますので、進め方については、どの案件もだいたい同じだと思います。

オープン イノベーション モデル契約書 解説パンフレット 促進のためのモデル契約書 v2.0
パンフレットより


😇 ソフトウェア開発
  …ぢゃない「AI開発契約」


教師あり学習のポイントは、正解のクオリティがよい良質なデータをいかに多く、そして可能であればすぐ用意できるか、です。
データは発注側が用意することが通常ですが、上記の図にあるPoC
段階ですと、まだお試し感覚なので、アリモノを使ったり、少量のテストデータで済ませることもあります。

そのせいか、PoC段階でデータに関する交渉はあまり問題にならないことが多く、交渉はソフトウェア開発契約と同様に、保証や知財権の帰属にフォーカスされます。

この場合、契約書だけみれば、法務ができることはシンプル(譲るか譲らないか落とし所を見つけるか)なのですが、実際のAI技術の選択や自社エンジニアの技術レベル・ノウハウや、技術の革新性などにより、条項の書き方には多数の選択肢が出てきてしまいます。
AIとソフトウェアは、考え方や開発プロセス、完成後の使い方が異なるのに、技術や開発側の実態(業界やエンジニアの常識)が発注側に理解されないまま、とにかくスケジュールが詰まっているからと、決まってしまうこともあります。(法務も焦らされる..)


そこで、客観的な説明資料として今も重宝しているのが、2018年に公表されたAI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)です。

そろそろ更新版が欲しいところではありますが ー 従来のソフトウェア開発との違いや解決策について、たっぷり5ページを割いて解説されています。

かなり初期に出た立派なガイドラインなので、IT界隈の方は読んだことがあると思いますが、私は自分がどっぷりAI開発の現場に浸るまで、このガイドライン(AI編)の重要性と普遍性に気づいていませんでした😅。

なお翌年には「データ編」が更新されましたが、「AI編」はそのままです。でも内容は今でも実務に沿っていますし、基本の考え方は変わらないので、2018年発行とはいえ、古さはありません。

巻末にはユースケースの紹介もあって嬉しいのですが、AI編だけで173ページのボリュームは、さすがにしんどい。。
そんな私と同じ思いがチラついた方は、ぜひ以下のブログ✍️ を読んでみてください。


ただし、これもなかなかのボリュームなので💦 もっとササッと知りたいよ!という方は、同じSTORIA法律事務所のブログである、以下の記事がお勧めです。

見事な導入部と「あっ!」と声がでてしまう結末が待ってます🐮🥰

渋谷の牛タン屋で横にいたカップルとAI開発における演繹と帰納について

STORIA法律事務所ブログ・柿沼弁護士(2018/05/22)


⚙️AI系の 法務・参考資料

上記ガイドラインの解説本なども複数発売されていますが、書籍紹介は私の積読がヒドいので、別の機会にしようと思います。

かわりに、私のブクマや、法務のお仕事に参考になりそうな政府系のAI資料をご紹介します。
※ 「生成AIぢゃないほう」をテーマにした記事なので、生成AI関連はのぞいてます。あと海外も🙏

AI時代の知的財産権検討会 「中間とりまとめ」ー 権利者のための手引き ー より


マニアックになりそうで今回は触れませんでしたが、AI開発会社にいると、 OSS(オープン・ソース・ソフトウェア)の相談が結構きます。

OSS こそ、古い文献しかないので、そろそろ法務の視点で、最新の利用実態やライセンスの読み方、開発利用時の法的な注意ポイントをじっくり解説した書籍かガイドラインが欲しいな〜と思います。
(誰かに届け〜!!)


🙇 おわりに

AIは、これまでの技術とは比べ物にならないほど、非常に進歩の激しい技術です。この記事を書いている最中にも、すごいニュース👀が続々と出てきました。

OpenAIが新プラン「ChatGPT Pro」、月額200ドルで最新モデルを無制限に利用可能

日経クロステック 2024年12月6日

OpenAIの動画生成AI「Sora」、ついに一般提供開始 「ChatGPT」課金ユーザーなら追加負担なし

IT media NEWS 2024年12月10日

X、生成AI「Grok 2」を無料開放

Impress Watch 2024年12月10日 


「今回は書かないから!」と宣言した生成AIの話題が、締めを飾ってしまいました 笑


AIは本当に進歩が早いのですが、その分、いつから勉強を始めても遅くないというのがメリットです。

もし興味はあるけど勉強のきっかけがつかめない人がいたら、G検定 の勉強から始めてみてはいかがでしょうか。法務の資格ではないですが、法律・倫理に関する出題もありますし、私はこの試験に合格後、AIエンジニアの人と(多少は)話せるようになって、仕事が楽しくなりました。



AIエンジニアの仕事やビジネスに興味のある方は、以下もご覧いただけたら嬉しいです。


法務系 Advent Calendar 2024 明日は..

Daisuke Nakajoh さんです!

自分の投稿を書き上げるのに必死で、他の方の記事をほぼ読めていなかったので、、これからは読む側に回って楽しみたいと思います。

LegalAC 初参加ですが、3年越しの祈願成就になりました。
お読みいただき、ありがとうございました!🥳✨


#legalAC #裏legalAC #AI #AI開発 #契約 #法務  🎅🦌🦌🛷🌲🌲✨


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