いつか生まれる小さな生命と言う名の光をあなたにそっと優しく抱き締めてほしい
いつか生まれる小さな生命と言う名の光をあなたにそっと優しく抱き締めてほしい。そんな想いで書き始めた物語だが、自分が経験していない事は言ってみれば全てファンタジーだ。
それでも、なんとか小学生時代の経験を活かして少年少女が森で出会い、我が子へ生命の大切さを伝えていくと言う役割を登場人物に託したい一心で何度も何度も練り直す。きっとその方が物語も深みを増していくと思ったから。
1. 今の弱肉強食の世界で愛があるなら確かなものを感じてみたい
舞台は沖縄県西表島。そんな真夏のある日、森の中で天体観測をしていた星好きの十二歳の少年・星野光輝。そこに現れた淡い栗色の髪を持つ十二歳の少女・月下美花にどうしてここにいるのかを聞かれ「星がきれいだったから」と言い一緒に夜空を見上げる。そして時を重ねた二人は結婚するが、今の弱肉強食の世界で夢を追いかける事しかできない日々に悶々としていた。どうすればいいのだろう。
「そうだ。星を観に行こう。あの時の気持ちを思い出せばきっと何かが変わるはずだ」
夫婦の寝室にあるテーブルの上に置かれた絵本。やっとの想いで上京してきた美花も同じようにこの世界にも愛があるなら確かなものを感じてみたいと思っていた。突然お星様が空から降ってくる物語。自分が抱いていた「いつか星に乗って宇宙旅行がしたい」と言う夢を叶えてくれるような、そんなお話だった。
それを息子に読み聞かせようとするが、やっぱり何も思い出せない。その声が心地よいのか息子も大人しくじっと耳を澄ませている。でも、あの時の気持ちはもう消えてしまったのかもしれない。それを確かめるためにもう一度二人で星を観に行く事にする。
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