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馬を水場に連れて行っても…的な話

コロナが明けて2024年に入り、インバウンドの旅行者はコロナ前より増えました。今や日本全国どこに行ってもインバウンド旅行者の姿を見ます。いわゆる東京、箱根、富士山、名古屋、京都、大阪などの有名観光地を巡るゴールデンルート以外にも、『え?こんなところにも?』と思うような場所でも見かけます。

それとは逆に、アウトバウンドはまったくと言って良いほど戻っていないようで、コロナ前の6割程度だそうです。それを打開する一手として、JATA(日本旅行業協会)が政府に新成人へのパスポートを無料配布を要請するというニュースを見ました。

そこで思ったことを素直に書きますね。パスポートを持ったからと言って、新成人が海外に旅立つのかな…到底そうは思えない。です。

一応、旅行業界の端っこに名を連ねる身ですが、ぶっちゃけ『それはないわー』って思いました。日本のパスポート取得費用が高いというのが理由として書かれていましたが、海外に行かない理由はそれだけではないだろう…というのが正直なところです。

まず、海外に行くには、目的が必要です。その目的が持てないというのが大きな理由なのだと思います。それと昨今の超円安やいつまでも下がらない燃料サーチャジとか、様々な理由ももちろんあるでしょう。だけど、一番大きな理由は『海外に行ってまで達成したい目的が持てるかどうか』なのではないでしょうか。まだまだ取得しづらい休みを取って、高額な対価を支払ってでも経験したい何か。それがないといつまでもアウトバウンドは増えないと、わたしは思います。

先月開催されたツーリズムEXPOに参加して、アウトバウンド促進の施策のシンポジウムも聞いて来ましたが、あまり革新的なものはなく、従来的な各地の魅力をアピールするだけにとどまっていました。そんな中でパスポートだけを配っても、『馬を水場に連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない』みたいな話で終わってしまいそうです。

日本人のパスポート保有率は現在17%だそうで、年代など無視した単純計算で6人に1人しか持っていないことになります。海外に行くだけなら、ネットの発達によりハードルは格段に下がっています。あとは、逆にそのネットを捨てて、実体験から得られるものにどこまで重きをおけるか。なのかな、と。

実態を伴った体験。ツメナシカワウソと握手。

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