見ることの大切さ
素直な人は伸びる、なんてことを聞いたことがあります。言われたことを素直に実行する人が伸びると。
だけどわたしはそうは思いません。言われたことを素直に実行するのは悪いことではありませんが、そこに『自分で、言われたことを一度消化し、その上で自分の成長に必要であれば言われたことを実行する』人が成長すると思います。
ハワイの伝統文化では、『目上の人に質問をしてはいけない』という不文律があります。歴史あるフラのハーラウなどでは、クムフラ(フラの先生)に質問するのはタブーとされ、生徒たちはレッスンの間中、とにかくクムの一挙一投足を、目を皿のようにして見つめて技を得ていきます。わたしもかつて、今は亡くなったマスターカヌービルダーに『これは何をしているの?』と聞いて、『しっ』と言われたことがあります。
とにかく見る。見て真似をする。それがハワイにおける教育のスタイルです。もちろん、今は学校ではきちんとカリキュラムに則って教育がされていると思いますが、まだまだ『見て技を得る』意識も健在です。
言われたことを素直にするのではなく、師匠が今、何を何のためにしていて、その結果はどうなるのかを、ひたすら見て掴む。これは決して受動的な気持ちではできません。能動的に見ることと、その技を自分で考えて実行するすることが必要です。集中力と観察力、理解力と想像力。判断力と実行力。色んな力を発揮して自分の技にする。これこそ伸びる人の条件だと思います。日本では地位が低いけれど、ドイツでは職人さんのステータスが高いのは、たくさんのスキルを総合的に発揮しながら道を切り開いてきたからなのでなないでしょうか。
ついでに、わたしは『女性は素直な方が良い』にもとても懐疑的です(笑)