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闇のゆりかご

ハワイの創世神話『クムリポ』では、世界の始まりには闇があり、そこから命が誕生する流れになっています。闇は暖かくて心地よく、そしてすべての始まりだというのです。


日暮れに開花して、夜明けとともに散るサガリバナ

先日、『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』という体験プログラムに参加しました。日本では、1999年11月に初開催されてから延べ21万人以上が体験している、息の長いエンターテインメントとなっています。

ひとすじの光も入らない室内で、歩いたり、床や水に触れたり、お茶を味わったりします。それをアテンドしてくれるのは、視覚障害を持つ方です。いわば『暗闇のプロ』です。

光がまったく入らない空間にいると、目を開けているのか閉じているのかすら覚束なくなります。開けているのを放棄しても良いのですが、閉じてしまうと寝てしまいそうです。また、目を閉じているときにまぶたの裏に見える『眼閃』が絶え間なく見えます。

しかし、不思議と恐怖感はありませんでした。それは、外敵がいないからという状態が作り出す安心感かも知れません。暑くも寒くもなく、じっとしていれば怪我をすることもない暗闇。指先すら見えず、自分の姿を見ることもないので、自分が何者であるかということを思い煩う事もありません。

暗闇は心地よい。これがクムリポに描かれている心地よい暗闇なのでしょうか。


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