世界中のどこかで、わたしに見つけられる瞬間を待っているなにかやだれかが、きっといる。
5日目。
今日はやっと来たおやすみ、って感じ。
朝からからだが重くて、気の巡りが滞っているような感じがした。
そこでいただいた入浴券があったので、近くの温泉に行って来た。
昼からの温泉、よかったなあ。
そこは広くて、露天風呂だけじゃなくてジャグジー、打たせ湯、サウナと、いろいろ楽しめて、豪華な気分になれるので、お気に入りの温泉。
露天風呂で雨に打たれるのも、こういうときならきもちよく感じて新鮮だった。
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きのう、職場から歩いて行けるところにある、稲田神社に行くことにした。
きのうはなんだか、やわらかい光の日だった。
おととい、歩いて行けると聞いていたので、行ってみようとしたら、けっこう歩いてもまだ見えなくて、休憩時間が終わってしまうので、やむなくリベンジすることにして引き返そうとした。
近くの畑にいたおばちゃまに、稲田神社はあとどのくらい?と聞いてみたついでにお話していて、残念だけどまた来ますと言ったら、「そうか、じゃあ、乗せてってやるか」と言って軽トラで連れて行ってくれることになった。
車だとすぐって感じだけど、やっぱりもう少し歩くみたいだった。
稲田神社に近づくと、その大きな鳥居がでーんと構えているのが目に入った。
"うわぁ、すごい存在感"と思った。
以前、空き家を探しているとき、社長に連れて来てもらったのがこの近くのお家だったことに気づいた。
そのときは、その道の先に稲田神社があるなんて知らなかったけれど、なんだかそのあたりに入ったとたん、緑が多くなって、空気が変わったように感じたのを覚えている。
稲田神社の神さまの力だったんだと思う。
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そしてきのうもまた、聞いていたお天気とはちがって、晴れだったので、少し風が強かったけれど行ってみることにした。
きのうは休憩時間の開始とともに、いざ稲田神社へ行かんと、職場を出た。
まっすぐの道をひたすら歩く。
ここの"横田"という地名の由来がなんとなくわかるような、平べったい平地に田んぼが横に並んでいる。
しばらくして、あの空き家のあたりに来て、やっぱり足を止める。
茂みのなかに透ける紅葉の赤や、実っている柿のオレンジがなんだか目を引いた。
そしてそのまま川を渡って空き家のわきを通る小道へ、導かれるように入っていく。
どうやら奥に愛宕神社があるという。
今日はどうも、稲田神社に行くんじゃないなと思いながら。
その先は開けていて(もちろん田んぼで)、遠くに古い神社の鳥居が見えた。
"あ、ここに来ることになってたんだ"と思う。
鳥居をくぐると、社や祠は見当たらなかったけれど、境内には『産湯の池』という稲田姫が生まれた池が祀られていた。
とくになにかするわけでもなく、ふーんとそのままつっきっていくと、少し小高い丘のようになっていて、そこには切り株のウッドサークルみたいなものがあった。
いい塩梅で座れる腰かけを見つけて、お昼ごはんにすることにした。
この日は、楽しみにしていたゆばてんどん。
ゆばを衣をつけてあげた天ぷらにして、その下にレタスをしき、ごはんの上に盛った。
甘辛くつくった自家製のタレに、カレースパイスとマヨネーズをかける。
これは、サイコーだった。
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わたしが稲田神社に惹かれるのは、あるきっかけがある。
奥出雲に来てから大山へフラをしに通うようになった。
そこで出会ったフラ仲間が、大山に移住して来たのは、稲田神社のおかげだという話を聞いていて、わたしのことをきっと稲田姫なんだねと言ってくれたのだ。
それから、わたしもなにかご縁を感じるようになって、いつかちゃんとお参りしようと思っていたのだ。
わたしは、神話の国、出雲に来てもう7年くらいだが、まだ神話のことはなにも知らない。
でも、なんかふと目に留まった、という出会いが、なにかそのひとにとって、とても大切なはじまりになるんだと思う。
どこかで、わたしに見つけられる瞬間を待っているなにかやだれかが、きっといる。
それはわたしもそう。
わたしを見つけてくれるだれかやなにかを待っている。
そういう出会いは、お互いがお互いにとっての運命なのだと思う。