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「握手」 井上ひさし 感じたこと

ルロイ修道士が尊敬されるのは、彼の考え方が素晴らしいからだと僕は思う。  ルロイ修道士は、人種・民族よりも、 一人一人を尊重する考え方を持ち、 それは彼が戦争中に日本人からひどい仕打ちをされたにもかからわず、 その後天使園の子供たちに愛情を注げられるという行動に変化した。  彼のその考え方は、結果的に彼自身を幸せにした。 僕たちがその考えに触れられることが、 この作品の良いところではないだろうか。  これらの彼の人物像から、この作品は誰にでも平等に接することの大切さを私に教

「飛べなくなった人」を鑑賞して

最初にこの作品を見たのは一年生の頃だったと思う。美術の授業中に黒板に貼っているのを何度も見た。 最初は、ただ不思議だなと思ったが、学校の美術の授業でいろいろなことが分かった。 まず、彼は31歳の若さで亡くなってしまったということ。 そして彼の絵には、必ず悲しげな顔の男の人がいること。 石田徹也が幼かったころは、甘えん坊だったという。だが、大人になって作品を描くとき、ほとんどの絵が暗い作風になっているのが不思議だなと思った。 KIRINの「美の巨人たち」でも説明されて

「高瀬舟」 努力で運命は変わるか?

喜助の弟殺しは罪になるだろうか。私は、罪になると考える。 まず、喜助が罪に問われた理由は、弟を苦しみから救うためであった。 だがそれなら、弟が自殺してしまうより以前の行動次第で、 弟が自殺してしまうのを免れることはできたのではないだろうか。 まず、喜助たちが子供の頃はまだ働けないので、 やむを得なかったかもしれない。だが、その頃以降はどうだったのだろうか。 例えば、高瀬舟に乗った時の喜助が二十歳だとして、罪に問われるまでの十数年の間でもっと努力したとする。運よく他のより良い