Amazon×Quartile業界のリーダーが語る、2024年以降のAmazonで成長を達成するための戦略(2)【ブランド構築のためのKPI】
1.強力なブランド構築ツールへと進化したAmazon
Quartile社 共同創設者兼CMO/シルビオ・リンデンバーグ 氏(以下シルビオ、敬称略)と 、Amazon社 広告 API エバンジェリスト/ジェフ・コーエン氏(以下ジェフ、敬称略)による、進化し続けるAmazonのマーケティング戦略に関するインタビューの内容を3回にわたってお届けします。
【理想の顧客特性】について語られた第1回に続き、今回はその第2回です。
なお、インタビュー内容は分かりやすく簡潔にするために編集されています。
シルビオ
購買ファネルの話に戻りますが、小売業者は売上目標を達成しつつ、テスト用の予算を確保することができます。Amazon Marketing Cloud(AMC)のデータと多様なオーディエンスプロフィールを活用することで、異なるメッセージを効果的にテストすることが可能です。
ジェフ
行動が早いほど優位になります。現在、ブランドが直面している課題は、パフォーマンスマーケティングとブランド投資の分断です。Amazonは、ブランド構築プラットフォームへと進化しており、例えば「Thursday Night Football」や「Alexa」などの様々なタッチポイントがあります。また、Amazon Publisher Servicesを利用すれば、サードパーティのメディアにも広告を広げることができます。
シルビオ
ブランドやセラーが新しいオーディエンスにリーチするために、どのように動画を活用することができますか?
ジェフ
動画には広いオーディエンスにリーチする大きな可能性があります。Amazonは膨大な顧客データ、Primeメンバーへの広範なリーチ、そして動画コンテンツの効果を活かした独自の強みを持っています。スマートフォンが普及し、顧客がそれらに多くの時間を費やす中で、ブランドが動画を活用することは、ブランド認知の向上やエンターテイメントの提供に有効です。ブランドが顧客と同じ場所に立てるチャンスなのです。
動画は商品のデモ、ブランドメッセージ、エンゲージメントを可能にします。動画制作は必ずしも簡単ではありませんが、iPhoneなどのツールを使えば、大きな設備がなくても質の高い動画を作ることができます。
2.コンバージョンKPIから より深いオーディエンスエンゲージメントへの転換
シルビオ
Amazonはしばしば購買ファネルの下層、つまり取引プラットフォームとして認識されがちですが、実際には強力なブランド構築ツールへと進化しています。小売業者はKPIを見直す時期に来ているのでしょうか?
ジェフ
はい。ブランド構築のためには、KPIはオーディエンスのエンゲージメントや行動に焦点を当てるべきです。たとえば、動画の視聴時間など、オーディエンスの関心を反映する指標が重要です。ブランドは、より深いエンゲージメントを目指し、新規顧客による売上などの指標で効果を測定することが求められます。AMCのデータの細分化と多様な顧客プロファイルを活用すれば、さまざまなオーディエンスに対して異なるメッセージをテストすることが可能です。データ分析ツールは、こうした取り組みを成功させるために欠かせない存在です。
シルビオ
この分野で早めに参入することは、たとえ他社が後から追いついたとしても競争優位性をもたらします。ただ、大手ブランドではパフォーマンスマーケティングとブランド予算の分断を乗り越えることが課題です。
ジェフ
その通りです。ブランドは、Amazonをブランド構築ツールとして活用するために、従来のブランド予算から再配分する必要があることに気づき始めています。しかし、成功を測るための指標はこの文脈では異なります。
シルビオ
より高度なブランド構築と持続可能な成長を目指すために、小売業者が考慮すべきKPIは何でしょうか?
コンバージョンベースの指標、例えば広告売上高(ACoS)、総広告売上高(TACoS)、広告費用対効果(ROAS)は依然として重要ですが、ブランド構築活動においては限界があります。マルチタッチアトリビューションを使えばパフォーマンスを方把握できますが、複数のチャネルに投資する場合、小売業者はより包括的な視点を持つ必要があります。
例えば、AMCを使えば、Sponsored Product広告を単独で実行する場合と、Sponsored Display広告と併用する場合の影響を比較できます。ROASを全体的に向上させるとしたら、顧客獲得のために複数チャネルに投資する必要があるということです。ブランド構築のKPIは変わらなければなりません。単なるコンバージョンを目指すのではなく、継続的なエンゲージメントを追求するのです。
また動画キャンペーンにおいては、視聴回数や視聴者数、視聴時間、そしてその後のアクションを測定することが重要です。これらの指標を重ね合わせることで、高い関心を持つオーディエンスを特定し、ターゲットキャンペーンを行うことができます。
もう一つ重要なのは、増分売上を評価することです。ROASに依存するのではなく、「新規顧客の売上(New-to-Brand Sales)」に焦点を当てることで、キャンペーンが新規顧客をどれだけ引きつけているかを評価できます。これは、Amazonのセラーであろうと、プラットフォーム外のブランドであろうと同様です。AMCの柔軟性により、さまざまなソースからのファーストパーティーデータを統合して、広告の影響を包括的に把握することが可能です。
さらに、「顧客生涯価値(LTV)」、「顧客獲得コスト(CAC)」などのマーケティングの基本指標も重要です。私のSaaS企業での業務経験から、顧客の価値や寿命、そして獲得コストを理解することは、Amazonでの広告を最適化するための重要な発想の転換だと考えています。
シルビオ
リピート購入や消耗品において、1人の顧客を獲得し育てる価値を理解することは、持続的な成長のために非常に重要です。新規顧客による売上は、時間とともに積み重なる重要な指標です。成功が即座に得られるという考えを捨て、著名なブランドでさえ挑戦や成長の段階を経てきたことを認識することが必要です。
ジェフ
そうですね。新興ブランドにとって、特に独自の市場ポジションを持っているとした場合、ROAS(広告費用対効果)だけに注目するのはかえって成長を妨げてしまう可能性があります。ブランド検索に投資すべきタイミングを見極め、ブランド価値や消費者認知の発展に合わせることが鍵です。まずは小さく始め、途中で指標を理解しながら、広告戦略を徐々に拡大していくのが良いでしょう。
>>(3につづく)
3.今回のインタビューで語られたことのポイント
今回は、Quartile社の共同創設者兼CMOであるシルビオ氏と、Amazonの広告APIエバンジェリストであるジェフ氏による、Amazonのマーケティング戦略に関するインタビュー第2回をお届けしました。内容はいかがでしたか?
ブランド構築のためには、顧客との継続的なつながりを重視しよう。
「DSP広告のAmazon外へのメディアに配信」したり、「AMCを使ったファーストパーティーデータ統合やオーディエンス分析」を行うなど、Amazonをブランド構築ツールとして積極的に活用しよう。
ジェフは、ブランドが顧客とどのようにつながりを持っているかを確認するため、様々な指標に目を向ける重要性について語っていましたね。
またAMCを使ったオーディエンス分析やファーストパーティ統合などについても熱く語られていましたね。
「AMCとかよく分からないし、敷居が高くて難しそうだな…」と感じられている方もいらっしゃるかもしれませんが、ご心配はいりません。
弊社では専門のエンジニアが、分かりやすく丁寧にサポートいたします。ご質問やご相談がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
4.『Quartile(クォータイル)』について
インタビュアーのシルビオが共同創設者であり、CMO(最高マーケティング責任者)を務める「Quartile社」は、広告自動最適化のためのAIソリューション『Quartile(クォータイル)』を開発した米国のテック企業です。
株式会社Legoliss は『Quartile(クォータイル)』の製品UIや公式マニュアルの日本語化に始まり、導入から運用まで手厚くサポートしております。
『Quartile(クォータイル)』についてもっと詳しく知りたいという方は、お気軽に弊社問合せ窓口まで。
✉ quartile_info@legoliss.co.jp
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