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書庫冷凍 Side白
真夜中のチョコレイトはメランコリーなメロウに似ている。相反するものが混ざって溶けていくような心地よさと苦さがある。
これ以上は駄目だと頭では分かっていてもそのひと粒を手にとり口に含む。溢れた言葉はひどく曖昧で不憫で泣きたくなるほど滑稽でそして可愛いかった。
陳列された売り場で好きな物を手に取り心ときめくものを選んでそれらを並べてそして大切に味わって自己愛に浸る。
馬鹿馬鹿しいほど滑稽で可愛くて愛しい。そういうものは段々と薄らいでゆくような気がした。何もなくなってひと欠けも残らず薄い皮膚だけが現実になる。ならこの曖昧さがあるうちに補完しておきたい。誰に届かずとも誰も救えずとも自分自身の救済として。
ちょこっと遅かったかもしれないけれど言葉なら溶けない。
真冬の夜の淵で白と黒のマーブル模様が混ざってふたつの境界が解けていく。難解で単純な気持ちを大切に冷凍保存しておこう。
僕の本棚にはいつもいつまでも溶けない本があるよ。君の本棚にもいつか僕の想いが並ぶと良いな。 書庫冷凍
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チョコレイトウ Side黒
週末書庫から本を取り出した。なんか物足りない全然完結してないじゃない。納得いかないわ。そもそも凍ってて読めない、ちょっと電子レンジ買ってこよう。もっと高温じゃなきゃぬるいな。目が覚めるようにはっとして繋がる思考と閃きが全然足りない。わたし現在高温の箱の中。押し潰されながら甘いチョコを頬張っている。泥々に溶けたチョコレイトだ。それはもはや原型をとどめておらず一部の影になっている。それを用法なんて無視して摂取していく。
真夜中現れたドッペルゲンガー追いかけて暗く深い淵をなぞる。あきらめの悪い僕はそれに手を伸ばした。開いた本、繰り返す文字の羅列。夢と現実の狭間で謎解きゲームがはじまり始まり。
溶融していくのはなんてことないメランコリーだ。それだけを残そうと過去と現在をいったりきたりウロウロすしてる幽霊だれ?明日の朝には消えてなくなるなんてことない宵闇を密やかに彷徨っている。これは苦くて甘くて癖になる。私の想いは一瞬で消えていくから冷蔵庫の中いつも常備してるの。楽しいね、美味しいね? チョコレイト
この記事は、以下の企画に参加させて貰っています。