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2024 劇場/配信映画おすすめ&鑑賞全リスト


2024年鑑賞全記録/おすすめベスト10

今年観た映画全リスト(鑑賞順)

基本的に集中してアウトプットしている時を除き、
仕事の合間や寝る前などに数本の配信映画を観るようにしている。
あとはなんとかタイミングが合う時は、映画館へと足を運ぶ。
配信にて鑑賞したものについては、二度目、三度目の鑑賞も含まれる。
配信か映画館で見たかと、再見かどうかの表記はしておきます。

2024年1月1日〜9月30日までに観た全リスト
『あなた、そこにいてくれますか』(2016年/韓国/監督:ホン・ジヨン)配信
『ザ・ウォーク』(2016年/アメリカ/監督:ロバート・ゼメキス)配信
『アムステルダム』(2022年/アメリカ/監督:デヴィッド・O・ラッセル)配信
『グレイト・ニュー・ワンダフル』(2005年/アメリカ/監督:ダニー・レイナー)配信
『FOE』(2023年/米・豪・英/監督:ガース・デイヴィス)配信
『午後の遺言状』(1995年/日本/監督:新藤兼人)配信
『子猫をお願い』(2001年/韓国/監督:チョン・ジェウン)配信
『ベスト・セラーズ』(2021年/英・加・米/監督:リース・ロエスラー)配信
『20世紀のキミ』(2022年/韓国/監督:パン・ウリ)配信
『ベルファスト』(2022年/イギリス/監督:ケネス・ブラナー)配信
『オリエント急行殺人事件』(2017年/アメリカ/監督:ケネス・ブラナー)配信
『そんなの気にしない』
(2021年/フランス/監督:ジュリー・ルクストレ/エマニュ・エルマレ)配信
『愛の記念に』(1983年/フランス/監督:モーリス・ピアラ)配信
『愛なのに』(2022年/日本/監督:城定秀夫)配信
『猫は逃げた』(2022年/日本/監督:今泉力哉)
『ヴォルーズ』(2023年/アメリカ・フランス/監督:メラニー・ロラン)配信
『ナイル殺人事件』(2022年/アメリカ/監督:ケネス・ブラナー)配信
『ジョーンについて』(2022年/ドイツ/監督:ローラン・ラリヴェエール)配信
『哀れなるものたち』(2023年/ イギリス/監督:ヨルゴス・ランティモス)映画館
『聖なる鹿殺し』(2017年/愛・ 英/監督:ヨルゴス・ランティモス)配信
『マエストロ:その音楽と愛と』(2023年/米国/監督:ブラッドリー・クーパー)配信
『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021年/イギリス/監督:エドガー・ライト)配信
『女王陛下のお気に入り』(2018年/愛・米・英/監督:ヨルゴス・ランティモス)配信
『籠の中の乙女』(2012年/ギリシャ/監督:ヨルゴス・ランティモス)配信
『ロブスター』(2016年/愛・英・仏・希・蘭/監督:ヨルゴス・ランティモス)配信
『ペイン・ハイラーズ』(2023年/アメリカ/監督:デヴィッド・イェーツ)配信
『ナイトメア・アリー』(2021年/アメリカ/監督:ギルレモ・デル・トロ)配信
『ギルレモ・デル・トロのピノッキオ』
(2022年/ アメリカ・フランス/監督:ギルレモ・デル・トロ)配信
『市子』(2023年/日本/監督:戸田彬弘)配信
『正欲』(2023年/日本/監督:岸善幸)配信
『川っペリムコリッタ』(2021年/日本/監督:荻上直子)配信
『宮松と山下』(2017年/日本/監督:関友太郎・平瀬謙太郎・佐藤雅彦)配信
『BLUE GIANT』(2023年/日本/監督:立川譲)配信
『モーリタニアン 黒塗りの記録』
(2021年/イギリス・アメリカ/監督:ケヴィン・マクドナルド)配信
『我、牙で牙を制す』(2023年/台湾/監督:ウォン・ジンポー)配信
『ある男』(2022年/日本/監督:石川慶)配信
『日の丸〜寺山修司40年目の挑発〜』
(2022年/日本/監督:佐井大紀)配信(ドキュメンタリー)配信
『この世界に残されて』(2019年/ハンガリー/監督:バルナバーシュ・トート)配信
『インサイド・マン』(2006年/アメリカ/監督:スパイク・リー)配信
『プライドと偏見』(2005年/イギリス/監督:ジョー・ライト)配信
『つぐない』(2008年/イギリス/監督:ジョー・ライト)配信
『ブラック・クラインズマン』(2018年/アメリカ/監督:スパイク・リー)配信
『真珠の耳飾りの少女』(2004年/英・森/監督:ピーター・ウェーバー)配信
『オッペンハイマー』(2023年/米・英/監督:クリストファー・ノーラン)映画館
『アステロイドシティ』(2023年/アメリカ/監督:ウェス・アンダーソン)配信
『エリザベス』(1999年/イギリス/監督:シェカール・カプール)配信
『エリザベス:ゴールデンエイジ』
(2007年/イギリス・フランス/監督:シェカール・カプール)配信
『パレード』(2024年/日本/監督:藤井道人)配信
『ミッドサマー』(2020年/アメリカ/アリ・スター)配信
『キングスマン』(2015年/アメリカ・イギリス/監督:マシュー・ヴォーン)配信
『キングスマン:ゴールデン・サークル』(2017年/英/監督:マシュー・ヴォーン)配信『キングスマン:ファースト・エージェント』
(2020年/アメリカ・イギリス/監督:マシュー・ヴォーン)配信
『すずめの戸締まり』(2022年/日本/監督:新海誠)配信
『スペースマン』(2024年/アメリカ/監督:ヨハン・レンク)配信
『ラスト・ナイツ』(2015年/アメリカ/監督:紀里谷和明)配信
『世界の終わりから』(2023年/日本/監督:紀里谷和明)配信
『NOPE』(2022年/アメリカ/監督:ジョーダン・ピール)配信
『デリッシュ!』(2022年/フランス・ベルギー/監督:エリック・べナール)配信
『アメリカン・フィクション』(2023年/米/監督:コード・ジェファーソン)配信
『永遠の門 ゴッホの見た未来』
(2018年/アメリカ・フランス/監督:ジュリアン・シュナーベル)配信
『スーヴェニア-私たちが愛した時間、後に-』
(2021年/イギリス/監督:ジョアンナ・ホッグ)配信
『ウエスト・サイド・ストーリー』
(2021年/アメリカ/監督:スティーヴン・スピルバーグ)配信
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニングPART ONE』
(2023年/アメリカ/監督:クリストファー・マッカリー)配信
『タイタニック』(1997年/アメリカ/ジェームス・キャメロン)配信 再見
『生きる LIVING』(2022年/イギリス/監督:オリバー・ハーマヌス)配信
『バービー』(2023年/アメリカ/監督:グレタ・ガーウィグ)配信
『イコライザー THE FINAL』(2023年/米/監督:アントワーン・フークア)配信
『SHE SAID/その名を暴け』(2022年/米/監督:マリア・シュラーダー)配信
『首』(2023年/日本/監督:北野武)配信
『87分の1の人生』(2023年/アメリカ/監督:ザック・ブラフ)配信
『1987、ある闘いの真実』(2017年/韓国/監督:チャン・ジュナン)配信
『レ・ミゼラブル』(2012年/イギリス/監督:トム・フーバー)配信
『FALL/フォール』(2022年/アメリカ/監督:スコット・マン)配信
『恋する惑星(1994)4kレストア版』
(2022年/香港/監督:ウォン・カーウァイ)映画館 再見
『ライド・ライク・ア・ガール』
(2019年/オーストラリア/監督:レイチェル・グリフィス)配信

おすすめベスト10

選考基準は、匿名でレビューを書いているレビューサイトの
点数でランキングしてます。同点がけっこうあり、
僅差なので、23作品あげております。
またネタバレが含まれますので、ネタバレが嫌な方は
レビューは飛ばしてください。

①『マエストロ:その音楽と愛と』2023年アメリカ/Netflix
監督:ブラッドリー・クーパー/脚本:ブラッドリー・クーパー/ジョシュ・シンガー

『人間は囚われた獣と同じだ。己の欲や愚かさの犠牲者なんだ』、『芸術作品がもたらすのは、答えではなく問い。その本質的な意義は、矛盾する答えがはらむ緊張の中にある』。この二つのバーンスタインの言葉に寸分の狂いなく同意する。情動を壮大なリズムで繰り返す夫婦の愛に圧倒される。ブラッドリー・クーパーは、完全に覚醒したように思う。その片鱗は、『アリー スター誕生』から感じてはいたが、、、驚いた。あくまで個人的にだが、カット割が完璧に思えたし、色味や光の加減、画角、カメラワーク、ほぼ完璧に思えた。モノクロの中での奥行きの出し方も古き良きハリウッドスタイルで良かったし、カラーに戻った瞬間のテクニカラーっぽく感じさせた色味もとても良かった。あえての4:3のサイズも意図が伝わってきた。脚本も良かったし、夫婦が口論するシーンをワンカット、fixで撮っているのも超共感した。それがまた演劇的に見えるのも人生の滑稽さを物語っていて素晴らしかった。それと対照的にマーラーの『復活』を指揮するクーパーを緊張感とダイナミックさを兼ね備えたドーリーインで捕らえていくカットも素晴らしく、その後の夫婦の復活へとつながるカットに涙が溢れて止まらなかった。一歩間違ったら、生涯最高得点をつけていたかもしれなかった💦そしてまたしても世間の評価と自分のそれの違いを思い知る。にしても、キャリー・マリガンが本当に素晴らしかった。あと特殊メイクの進化に驚愕!!!

②『ブラック・クラインズマン』 2019年アメリカ/U-NEXT
監督:スパイク・リー/脚本:スパイク・リー/チャーリー・ワックテル他

とても良かった。敢えて言うなら、クレージーな実話ベース。アメリカの抱える闇。50年経ったアメリカではトランプ再選の可能性が、、、なんとも因果な世の中だ。やれやれ。それにしてもアダム・ドライバーが出演している映画はほぼハズレがない気がする。『ホワイトノイズ』は微妙だったけどww。数年前のジム・ジャームッシュの『パターソン』は最高だった。

②『タイタニック』 1997年アメリカ/Amazon Prime Video
監督/脚本:ジェーム・キャメロン

この当時の合成技術を今観ても、やっぱりよく撮ってる!凄いと思った。そして映像ばかりではなく、細かなところは気になるものの、セリフや構成、ストーリーがやっぱりよく出来ている。(恐らく幾つかは、史実をまげた大袈裟な展開や設定があることとは思うが)そしてこの瞬間のディカプリオの輝きが半端ない。それからよくもまあこんな予算出たなあという。様々な奇跡がこの瞬間にハマって出来上がった珠玉のラブロマンスだったのだろう。悲劇の史実と当時の世情を背景に、決して叶うことない愛を命がけで貫いた恋人たち。前観た時よりもグッときた。でもきっと、これだけ予算使って、寸分たりとも妥協したら出来上がらなかったであろうクオリティーで作り上げたことを思うと、製作陣、スタッフやキャストの中でジェームス・キャメロンの顔だけは二度見たくないって思っている人も絶対いるだろなー🤣そして特筆すべきは、前回この映画を見た後に、リアルタイムで米同時多発テロや東日本大地震を見せられ、体感したことは、映画内で描き出される映像への僕自身の捉え方をとても大きく変えたということだ。それははっきりとしっかりと110年前に史上最大の豪華客船の沈没事故が多くの犠牲者を出す大惨事として確かにあったことをこの胸に耳に目に焼きつける。

②『ベスト・セラーズ/小説家との旅路』 2021年イギリス/カナダ/アメリカ/Netflix
監督:リーナ・ロエスラー/脚本:アンソニー・グレイコ

昨年俳優引退を宣言した主演のマイケルケイン。素晴らしい演技だった。相手役の女優さんも良かった。偏屈な老アーティストの復活と娘のような歳の離れた相棒とのハートウォームなバディストーリー。数えきれないほどよくあるパターン。それでもグッとくるのは、2人の俳優の力と散りばめられた心に響くセリフであろう。

③『哀れなるものたち』 2024年イギリス/映画館
監督:ヨルゴス・ランティモス/脚本:トニー・マクナマラ

異常な行為の末に生まれたバクスター擬似親子の愛が歪んでいるのではなく、世間に溢れる周りの大人たちの愛に見せかけた欲望が歪んでいるという。何だか現代社会も変わっていないのかもしれない。人生の、そして絶対愛の話なのかな。life,love,live.美術、衣装、カメラワーク、演技、音楽、編集、映像の色味も素晴らしかった。難しい部分もあり、一部画角をドアスコープのような望遠鏡のような丸くしているカットの幾つかや、魚眼レンズの挟み込む意図を掬いきれなかった。
井上陽水の「最後のニュース」の"眠りかけた男たちの夢の外で、目覚めかけた女たちは何を夢見るの?"という歌詞を思い出させる。

③『子猫をお願い』 2001年韓国/Amazon Prime Video
監督/脚本:チョン・ジェウン

20年越しで気になり続けて来た映画。ずっと観そびれてしまっていた映画。やっと観ることができた。もうこれは、映画の内容に関してだけじゃなくて、自分自身の私的な思い出がバンバン蘇ってきて生々しい。公開当時、この年の春に撮り終えた長編デビュー作の編集作業に追われ毎日昼間は調布の方にあったラボで編集作業、夜は夜な夜な助監督と記録さんと宣伝チームと渋谷で飲み明かした日々。ある夜の酒の席で宣伝の人がこの映画をベタ褒めしていた。そこから見逃し続けてやっと2024年1月に観ることができた。この映画の日本公開が2004年の6月だからほぼ20年の時を経てだ。撮影されたのは2000年〜2001年にかけて韓国だが、空気感とか10代のトレンドといったものから2000年代前半の東京にも連れて行ってくれる。その頃の自分が置かれていた状況や考えていたこと、一緒に過ごしていた人々の記憶とともに映画の世界に没入した。いや、まるでその頃の自分たちの中にこの映画が入り込んだような錯覚さえ覚える。不思議な感覚だった。だいいち、当時自分はこの映画を観ていないし、映画に登場する少女たちは高校を卒業したばかり。この当時僕は40歳の手前である。国も世代も違うのだが、確かにこの空気感は共有していた! っと錯覚してしまう。40歳を手前にしたオッサンも初の長編映画の熱に浮かされて甘酸っぱい思いをしていたからなのかもしれない。ちょっと自分でもそんな自分が気持ち悪いww。映画の中身ですが、オッサンにそんな勘違いをさせるくらい五人の少女たちの刹那な瑞々しさは、リアルに観るものたちを潤し、苦しみや喜びや希望や絶望を共感させる。当時の韓国社会の情勢を考えると将来への不安を抱えて大人への入り口に向かう彼女たちのヒリヒリする心の痛みが響きました。大竹さん、ようやく観れたよ! いい映画をありがとう。

④ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE 2023年アメリカ/配信
監督/脚本:クリストファー・マッカリー

いやあ〜楽しい! 完全に楽しんだ!
何十回もこれまで様々な映画で見せられてきた暴走機関車と車両の屋根での決闘。そしてその結末が読めるのにドキドキするわ〜崖のバイクも地味にドキつく^_^
いい加減"愛しの君"を約束通り守れよ!っていうのもあるけど、「約束できない、、、」なんて弱気なセリフ吐いてしまうイーサンがかわいかったから許そう。しかしこれだけ次々と続編が前作より面白いというシリーズは観たことがない!拍手!

⑤『永遠の門 ゴッホの見た未来』2018年アメリカ/フランス/Amazon Prime Video
監督/脚本:ジュリアン・シュナーベル

良かった。セリフも少なく、ゴッホの見た目の映像も、全体の映像も良かった。音楽も最高だった。ゴッホが何を見ていたのか、どんな思考であの絵にたどり着いたのか。少しだけ近づけたような気がした。途中からウィリアム・デフォがゴッホにしか見えなかった。黄視症かあ〜共感覚者のようでもあるのかな、、、。ゴッホさんどうか安らかに、、、抱きしめたい。

⑤『生きる LIVING』 2022年イギリス/Amazon Prime Video
監督:オリバー・ハーマヌス/脚本:カズオ・イシグロ

黒澤版のオリジナルとほぼストーリーは一緒だが、全くの別物に思えた。黒澤版はもがきながら左に右に壁にぶつかりながらも前に進んで行く、老い楽の青春感を感じる力強さと儚さと狂気を孕んだ世界だったように思う。一方こちらは、一人称ではなく、新入社員の若者の目を通して描かれる部分もあり、どこかクールで未来への希望がより強く描かれているように感じた。カズオ・イシグロならではの茶室でダージリンを飲むような品がそこにあった。オリジナルといえば、葬式のシーンが印象強い。そこには黒澤の日本人の醜い部分や縦割り社会へのアンチテーゼと叱咤激励があった。一方この映画では、主人公が新入社員の若者に宛てた手紙で『我々は後世に残る何かを造ったわけじゃないが、日常に疲れたらあの場所が完成した時の小さな満足感を思い出して欲しい』と伝えるシーンでは前途ある若者に未来を託す希望が込められていた。黒澤自身の遺作である『まあだだよ』で黒澤が自分の後を歩いてくる未来の後輩たちに残した言葉と同じように。全くの余談だが、途中主人公を演じた名優ビル・ナイが友人の彫刻家のN氏にしか見えない瞬間が何度かあってソワソワした😝

⑤『モーリタニアン 黒塗りの記録』 2021年イギリス/アメリカ/U-NEXT
監督:ケヴィン・マクドナルド/脚本:マイケル・ブロナー/ロリー・ヘインズ他

この愚行は脈々と戦争とセットで繰り返されている。この行為を続け、闇に葬り続ける限り、地球上に知的生命体などという生き物は存在しない。諦めることなく生きたこのような強き人間を除いては。

⑤『レ・ミゼラブル』2012年イギリス/Netflix
監督:トム・フーパー/脚本:ウィリアム・ニコルソン/アラン・ブーブリル他

明日は来る。魂が研ぎ澄まされていくために何を間違い、何に救われ、育っていくのか。ユゴーに触れる神聖さ。未来の人のために。かつてはちゃんとこの国にもあった一番大切なこと。腐り切ったこの国の政治家たちこそ今この映画を観るべきなのかもしれない。音楽家、俳優、演出家、各セクションのスタッフに拍手。

⑥『ベルファスト』 2021年イギリス/U-NEXT
監督/脚本:ケネス・ブラナー

北アイルランド紛争にまつわる映画を観るといつも戦争という不毛な悲劇に、それを起こし続ける人間に絶望する。勿論全ての戦争にそれを感じるのだが、、、。同民族で、家族ですら争うこの戦争は特に。それでもその最中にも家族との、はたまた愛しい人との、友との素敵な思い出もちゃんとあるのだ。生まれてきた場所や時代のせいに出来るものではない。

⑥『オッペンハイマー』 2023年アメリカ/イギリス/映画館
監督/脚本:クリストファー・ノーラン

前半から詰めたサイズの狭い画が多くて、実験に向けてアップを多用しているが、窮屈な感じは一切感じず、オッペンハイマーの一人称で彼の心情がくっきりと伝わる。時折入るワイドな映像と、ただのフィックスのカットバックではなく、動きをフォローするカメラワークも完璧で、スリリングにギリギリ合わせてくるピントも観るものに緊張感を与えていた。映像はほぼ完璧と言っても良かったのではなかろうか。それゆえにロスアラモスでの成功演説までは素晴らしかったが、赤狩り以降の展開があまりにも有名な話で、名誉回復までの結末がわかっているだけに、というか、ロバートダウニーJr.演じる個人的感情からオッペンハイマーを追い込む男の執念の描き方が入り込めなかったのもあり、いたずらに長すぎて正直辛かった。そもそもあの視点は必要だったのかな〜なんて考えてしまうが、ノーラン自身はもしかしたら人間には「好奇心」という罪と「感情的」という危うさの二つの側面を持つ生き物の特性があることを描いていたのかも、、、。でも本当、ノーランだからこの長く平坦な映画をダイナミックに魅せきれている。カット割や美術や構図は勿論のこと、今回も編集と音が完璧だと思う。この卓越した映像センスには毎回脱帽。

⑦『真珠の耳飾りの少女』 2003年イギリス/ルクセンブルク/U-NEXT
監督:ピーター・ウェーバー/脚本:オリヴィア・ヘトリード

今やフェルメールの一番有名な作品をモチーフにした絵画フィクション。美術館で絵を観たあとに、その物理的背景やら心情的背景をああでもない、こうでもないと酒を飲みながら楽しく食事する。そんなロマンがありました。好きな映画だった。にしてもスカーレット・ヨハンセンも美しかったが、コリン・ファースがめちゃめちゃハンサムだった!

⑦『FOE』 2023年アメリカ/オーストラリア/イギリス/Amazon Prime Video
監督/脚本:ガース・デイヴィス

愛とは置き去りにされて初めて知るものなのかもしれない。そしてそのある種のファンタジーに没入すること。なんてね。主演の彼女の出ている作品を数本観たけど、様々な役柄を幅広く演じ分けていて、とても素敵だなといつも思う。今回も美しく演技も良かった。相手役の役者も素敵だった。映像もそれなりに美しく、空撮が生かされていて世界観もしっかりと作られていた。

⑦『アムステルダム』 2022年アメリカ/U-NEXT
監督/脚本:デヴィッド・O・ラッセル

超豪華キャスト。好きな俳優がたくさん出てた。デニーロがセリフがなくてもグループショットに入ってたw。俳優がみな良くて頭使わず観終えた感じ😂

⑧『1987、ある闘いの真実』 2017年韓国/Amazon Prime Video
監督:チャン・ジュナン/脚本:キム・ギョンチャン

1987年といったら37年前である。この頃、自分は22歳。数年後バブルがはじけるとも知らず、刹那な熱狂の中で呑気に青春を謳歌していた。こんなことが起きていることも知らず。この30年前に安保闘争中、樺美智子さんが亡くなったことも薄れゆく浮かれた世の中で。改めて第二次世界大戦〜朝鮮戦争を経て、韓国が本当の民主化を迎えるまでの困難を思う。もちろん原爆投下や度重なる大規模空襲や沖縄の地上戦と痛すぎる痛みを受けたが、その後の清算に於いて少々、日本は何かそういった部分をすっ飛ばして、まさに今本当の困難に突き当たっているのかもしれない。そんなことを思う。そして過去の歴史を乗り越えて、アジア近隣の国々と日本に友好と平和が続くことを祈る。映画的観点からは、光州事件を題材にした『タクシー運転手』の方が響くものがあったが、この映画は史実として重く心に響いた。

⑧『そんなの気にしない』 2021年フランス/ベルギー/Amazon Prime Video
監督/脚本:ジュリー・ルクストレ/エマニュエル・マレ

カメラワーク、画角、演技、演出が上手く調和しており、主人公のカサンドラの怒り、苛立ち、哀しみ、刹那、そういった彼女の日常がドキュメンタリーのように生々しく描かれていて心を揺さぶられた。ドバイ。資本主義を猛スピードで走らせる砂上の楼閣のようなバーチャル楽園。カサンドラにとっては、本当の楽園になりますように。

⑨『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』 2022年アメリカ/Netflix
監督:マリア・シュラーダー/脚本:レベッカ・レンキェヴェチ

女性監督ならではの目線で被害女性たちの機微が繊細に描かれていて、痛いほど伝わってくる部分があった。人種、ジェンダーを始めとする差別なき世界を見たい。ただそれだけを思う。

⑨『インサイド・マン』 2006年アメリカ/Amazon Prime Video
監督:スパイク・リー/脚本:ラッセル・ジュウィルス/ドナ・バーウィック

良い方のスパイクリー感満載で良かった。
さすがのデンゼルワシントンといった安定感。この手のサスペンスを観ると常に比べてしまうのが、ブライアン・シンガー監督の大傑作サスペンス『ユージュアル・サスペクツ』。

⑨『ライド・ライク・ア・ガール』 2019年オーストラリア/Amazon Prime Video
監督:レイチェル・グリフィス/脚本:アンドリュー・ナイト/イリース・マクレディ

偏見と差別の中前人未到の頂に立つ。この物語の主人公である実在の女性騎手ミシェル・ペインに、真田広之に、野茂英雄に、イチローに、松井秀喜に、大谷翔平に、黒澤明に、その他全ての分野で前人未到の道を切り開く、世界中のパイオニアたちに尊敬と感謝を。それがまだ道半ばでも。そして地球上で最も美しい種であるサラブレッドに愛を込めて。

⑩『恋する惑星』 1994年香港/4Kレストア版 鑑賞 映画館
監督/脚本:ウォン・カーウァイ

いやあ〜懐かしかった、29年ぶりに観たよ〜観るまで結構忘れてたけど、冒頭の酔いそうなカメラワークとモーションブラー感溢れるネオンライトの残像フィルターで次々と思い出したww。このイメージよウォンカーウァイとクリストファードイルは!!これと『天使の涙』は、公開当時に映画館で観て以降観てないんだよな〜。あと、忘れちゃならない90年代半ばの香港の返還直前のめっちゃ街がかっこいい!そこにいるグロリア風のブリジットリンと若き金城武、そして出ましたトニーレオンとフェイウォン!初公開時に観たときは、よく金城武のことを知らなくて、日本語めっちゃうまっ!なんて思ってしまった。音楽も郷愁を誘う。あの頃のトニーレオンはやっぱり今観てもセクシーで、フェイウォンはキュート過ぎる。29年の時を経て再びフェイウォンに恋をした。当時残らなかったセリフのやりとりだけど、今回響いたのが、フェイウォンが、自分の好きな曲をトニーレオンが聞いてくれているのが嬉しくて、「この曲が好きになったの?」とたずねると、トニーレオンは、「慣れたんだよ」と優しく返す。半分の嘘と半分の本気。グッときた。

⑩『川っぺりムコリッタ』 2022年日本/Amazon prime Video
監督/脚本:荻上直子

ゆる〜いファンタジック温泉?wwといった感じ。いやっ、全く温泉なんて出てこないんだけど、そんなほんわかシュールで優しい映画。荻上直子っぽかった。

と長々とお送りしましたが、
連載小説のつづきである第二部を年内には書き上げたいと思っております。
乞うご期待!


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