人の心理学的理解

ざっくりまとめておく

心理学理論と心理的支援

1.人の心理学的理解

◇情動・情緒

【感情】

感情は情動と気分に分類される
・情動…原因が明確
    交感神経系を活性化させ明確な生理的反応が出る
    急激に生起し短時間で消失する一過性の強い感情
    喜怒哀楽などの明確な区別あり
    表情や行動に表れる
・気分…原因は曖昧
    生理的反応は出づらい
    長期間の継続的な弱い感情
    喜怒哀楽は不明確でおおまか
    表情や行動に表れづらい

◇欲求・動機づけ

【欲求】

欲求とは生理的、心理的な欠乏が生じた際その不満を満たすための行動を引き起こす状態。
一次的欲求=生理的欲求(人間に不可欠な生理的欲求)
二次的欲求=心理社会的欲求

マズロー、A.H.の欲求階層説
1生理的2安全3所属と愛4承認…欠乏動機
5自己実現…成長動機

欲求に応じた行動の選択ができない→葛藤


【防衛規制(適応規制】

防衛機制→不快な感情の体験を弱めたり避けたりすることで心の安定を保つため無意識におこなわれる様々な心理的作用。
・抑圧…苦痛などを心の中では感じていても意識や表面に出さない。我慢してスルー。
・退行…前段階の発達に戻って甘えるなどする。赤ちゃん返り。
・反動形成…欲求とは逆の行動を取る。好きだけどいじめちゃうやつ。
・置き換え…Aへの欲求をBへ置き換える。ただの八つ当たり。
・取り入れ…他者の行動を真似て近づこうとする。
・投影…自分の中の認めがたい感情を他人に投影しそこを批判することで不安を解消。(謎すぎる)
・同一化…他者と自分を同一化し満足感を得る。(劣等感強め?)
・知性化…本能的な感情を知的に転換することで抑え込む。自分の感情を客観視して我慢。
・合理化…失敗などに対し理由をつけて満足する。言い訳。
・昇華…社会的に認められない欲求を、承認されるもので満たす。アイドルにガチ恋したけど無理だから東大合格に気持ちをシフトチェンジ的なやつ。
・補償…1つの劣等感を別の得意分野で補う。勉強はできないけどスポーツはできます的な。

【動機づけ(モチベーション)】

動機づけとは行動を起こし方向づけ持続させる一連の心理的過程である。
行動を引き起こす内部要因を動因、外部要因を誘因という。

・社会的動機づけ…達成、承認、親和、支配など社会生活の中で他者が関わり獲得。
・内発的動機づけ…目標達成自体にやりがいや喜びを見出し獲得。
・外発的動機づけ…行動に対する外部からの働きかけで強化。おこづかいのために手伝う的な。

原因帰属とは成功や失敗の原因がどこにあるかを推測すること。

達成動機…目標を高い水準でやり遂げようとする動機
達成動機強い人→成功は内的要因(自分の能力や努力)!失敗時も内的要因(自分の努力不足)!
達成動機低い人→成功は所詮外的要因…(運や課題の簡単さ)失敗も所詮内的要因…(自分の能力不足)

成功や失敗が内的要因→内的帰属(自分の努力や努力不足)
成功や失敗が外的要因→外的帰属(課題の難しさなど)

◇感覚・知覚・認知

【感覚】
感覚→主に五感。その他運動感覚・内臓感覚・平衡感覚がある。その感覚の受容や感性経験。

【刺激】
刺激→感覚器官に作用して感覚をもたらすエネルギーや変化。
   
・適刺激…その感覚器を最も効率よく興奮させる。
     目→光、耳→音、鼻→空気中のニオイ
・不適刺激…その感覚器を興奮させる適刺激以外の刺激。
     目を圧迫したり電気で光を感じさせるなど。。。
・刺激閾(絶対閾)…刺激を感じる最小刺激量。
・弁別閾(丁度可知差異)…刺激量の変化や異なる2つの刺激の区別で違いを感じられる最小の刺激差。チクッ☆とグサッ!みたいなかんじ。

【知覚】
知覚→刺激を感覚器でゲットして外部の状況を感じ取ること。
図と地の分離→認識対象と背景の区別。

・知覚の恒常性…目に映ったものが場所や向きを変えても元の大きさや形に感じられる。
・明順応…暗い→明るい場所にいったときに目が慣れていく
・暗順応…明順応の逆。
・錯視…目の錯覚。
・体制化の働き…ルビンの杯的なやつ。
・群化①近接…距離の近いものはまとまって見える。
       ●    ●
       ●    ●  ←自然と2×2に見てしまう
   ②類同…形や色の似ているものはまとまって見える
       ●●●◇◇◇▼▼▼ ←3×3に見てしまう
   ③閉合…囲んであるものをひとまとまりとしてみてしまう
       (    )(    ) ←2×2に見てしまう
・奥行き知覚①単眼性手がかり→生理的手がかり・運動視差・絵画的手がかり
      ②両眼性手がかり→両眼性視差
・仮現運動…パラパラ漫画的に1つ1つの静止画が連続することで動きを知覚。知覚的補完の1つ。
・運動残光…一方向に向かうものをみたあとに静止したものを見るとそこが動いて見えるやつ。

【認知】
認知→記憶や知識を基に知覚された情報に対し解釈する過程。

・選択的注意…多くの情報の中から特定の情報のみ選択・認識すること。カクテルパーティ効果など。
・パターン認知
 ①鋳型照合モデル…認知対象を記憶内に持っている鋳型と照合して認識をはじめる。
 ②特徴分析モデル…認知対象を部分分けして自分の知識内のどの情報の組み合わせに相当するかで認識をはじめる。
・文脈効果…知覚や認知の効果がその文脈や見る側の経験によって違うものとなる。(怖いと思っているとススキの穂にすらびびる)

◇学習・記憶・思考

【レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)】
レスポンデント条件づけ→刺激に対して不随的な反応をするようになる学習。
パブロフ、I.P.の条件反射を基盤としてスキナーが分類した。
(パブロフの犬)

【オペラント条件づけ(道具的条件づけ)】
オペラント条件づけ→報酬のために自発的・」付随的に行動するようになる。
ソーンダイク、E.L.の試行錯誤学習を基盤としてスキナーが分類。
ボタンを押して餌が出る装置をネズミに与えると自分で押す行為を繰り返すようになる。
・正の強化…好子が与えられることで行動の頻度が増加。
      その都度褒めていたら褒めた行動が増える。
・負の強化…嫌子が除去されると関係する行動が増加。
      怒る回数が減ることで手伝いをするなどのプラスの行動が増える。
・正の弱化(罰)…嫌子が与えられることで関係する行動が減る。
         怒ることで怒った行動が減る。
・負の弱化(罰)…好子が除去されることで関係する行動が減る。
         いたずらするのでゲーム機を奪ったらいたずらが減った。

【その他の学習】
・馴化…同じ刺激に慣れていくこと。
・脱馴化…馴化した後にさらなる刺激を与えることで新しい反応をする。
・模倣学習…モデルが手本を見せ、真似できたら褒めることで強化。
・観察学習…モデルの手本を観察するのみで学習。(テレビを見て行動を真似するなど)
・洞察学習…状況の把握をし、ひらめくことで瞬間的に問題解決を図れる行動。(空気よんでる)

【記憶】
記憶→過去の経験によい情報を記銘、保持、想起する。
「記銘」とは外部の刺激がもつ情報を意味に変換して記憶として取り込むこと、「保持」とは記銘したものを保存しておくことで、「想起」とは保存されていた記憶をある期間後に外に表すこと。

・感覚記憶…外部からの情報をそのままごく短時間保持する記憶。
      →アイコニックメモリー…視覚情報。大きい容量、短時間で消滅。
・短期記憶…必要な情報を短時間保持。
・ワーキングメモリー(作動記憶・作業記憶)…いちばん働いて錯綜してる記憶。言語や思考の作業台。
・リハーサル…情報を保持するために復唱したり考え続けるなどして長期記憶へ持ち込む。
・長期記憶①意味記憶…言葉の意味や概念など知識として覚える。
     ②エピソード記憶…過去の体験や出来事。
     ③自伝的記憶…自分の過去の生活に関わること。
     ④手続き記憶…動作や技能、ノウハウの保持など身体に身についた記憶。
     ⑤展望記憶…今より後におこなう行為など予定に対する記憶

忘却→記憶した情報を想起できなくなること。

◇人格・性格

【思考】
・拡散的思考…問題解決の際に常識にとらわれず自由に生み出していく方法。
・収束的思考…問題解決=唯一の適切な解答。
↑両方ギルフォードが提唱。

【人格(パーソナリティ)】
人格形成は「遺伝的要因」と「環境的要因」の両方に影響される。

【性格】
性格→情緒的・意志的な行動傾向。
気質→遺伝的・生物学的に規定された特徴。

【パーソナリティ理論】
・類型型…いくつかの典型的な形があるという捉え方。微妙な個人差は度外視。
・特性型…全員が同じ特性を持った上で量の差があるという考え。まとまりのある個人の概念はない。

パーソナリティ理論の研究者とキーワードだけ連ねる↓
●精神分析的理論
・フロイト→イド…リビドー、スーパーエゴ…内的規範、エゴ…理性的
●類型論
・クレッチマー…体型と気質。肥満…躁鬱、細長…分裂、闘士…粘着。
・シェルドン・・・・胚葉起源説。内胚葉(肥満)…内奥緊張、中胚葉(筋肉)…身体緊張型、外胚葉(やせ)…頭脳緊張。
・ユング…内向型、外向型。組み合わせて8つの性格傾向。
・シュプラン…人生における価値の置き方で6つの類型。理論・経済・審美・宗教・社会・政治。
●特性論
・オールポート…共通特性と個人特性に分けた。心誌(サイコグラフ)を考案。
・キャッテル…因子分析によって根源特性を抽出。
・ギルフォード…因子分析で13因子の性格特性。YG性格検査(矢田部・ギルフォード検査)の人
・ゴールドバーグ…神経症傾向、外向性、経験への開放性、調和性、誠実性の5因子説→ビッグファイブ

◇集団
【集団】
自然発生的な集団→非公的集団
公的な目的の集団→公的集団

↓社会的認知・行動
・同調…多数派の意見で個々が同じ方向に類似していく。
・社会的促進…同じ仕事をする人がいたり観られている時の方が作業成績が向上。単純な作業やよく学習された課題でおこりやすい。
・社会的抑制…未学習で複雑な課題を集団でおこなうと他者の存在によって作業成績が下がる。
・社会的手吹き…集団で共同作業を行う際1人当たりの課題遂行量が下がる。
・傍観者効果…援助を必要とする人がいても他者がいた場合援助行動を取りにくくなる。
・集団極性化…集団でおこなう意思決定は個人のものより極端なものになってしまう。
       リスキーシフト→危険性高い。
       こーシャスシフト…慎重になる。
・社会的ジレンマ…自分の利益のために個人が動いて社会全体が不利益に。
・社会的アイデンティティ…自分=所属集団と捉える。
・内集団ひいき(内集団バイアス)…集団内の人がそれ以外の人より上に見える。即席の集団でも起こりうる。

◇対人心理
【対人認知】
対人認知…他者の表情や行動、状況などの情報を処理する過程。
     →感情認知:パーソナリティ認知、対人関係の認知など

↓社会的認知・行動
・ステレオタイプ…過度に一般化された認知を個人に押し付ける。
・ハロー効果(光背効果・後光効果)…その人の魅力的な側面だけで他の特報の評価も引きずられる。
・ラベリング効果…人や物事にラベル付け(名前つけ)することで価値や印象が固定化。
・バーナム効果…曖昧で一般的な記述をさも自分だけにあてはまるように捉えてしまう。
・ピグマリオン(教師期待)効果…教師の期待に応えようと生徒が変化し期待が成就される。
・ホーソン効果…注目されていることで作業効率があがるなどプラスの働きをもたらす。

【態度変容】
態度変容…情報や報酬、環境の変化で特定の対象に対する態度が変わること。
・認知的不協和…自分の中の矛盾する2つの概念を協和している状態にもっていくこと。(ex身体に悪いから禁煙したいけどタバコはストレス解消になる…)
・フットインザドア法…最初に小さなお願いを聞いてもらえたら、次の大きいお願いも聞いてもらいやすくなる 。
・ドアインザフェンス法…最初に大きなお願いをして譲歩したように見せかけて小さなお願いを聞いてもらう。
・単純接触効果…同じ刺激を繰り返し提示されるとそれに対して好意的な気持ちに変容する。
・ブーメラン効果…説得すればするほど逆の意見を抱かれてしまう。
・スリーパー効果…信憑性の低い相手からの説得はその時は効果がないのに後々効果を持ってくる現象。
・ダブルバインド…複数の矛盾した情報を得て受け取り側がどうすればいいのかわからなくなること。

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