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#441 「中央労働基準監督署長事件」東京地裁(再掲)

2017年7月19日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第441号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【中央労働基準監督署長(以下、C労基署長)事件・東京地裁判決】(2015年8月28日)

▽ <主な争点>
海外現地法人の総経理であった者の死亡に対する労災不支給決定の取消など

1.事件の概要は?

本件は、甲社の上海現地法人の総経理であったXが急性心筋梗塞を発症して死亡したことについて、Xの妻であるYが、Xの死亡は業務上の死亡に当たるとして労働者災害補償保険法(労災保険法)に基づき遺族補償給付および葬祭料の支給請求をしたところ、C労基署長が「Xの死亡は出張業務中の災害とは認められず、海外派遣者として特別加入の承認も受けていなかったので、労災保険法36条に基づく補償の対象にならない」として、いずれの請求に対しても不支給決定をしたことから、Yがこれらの不支給決定の取消しの訴えを提起したもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<XおよびYについて>

★ Xは、平成元年4月、甲社に入社し、同社が中国・上海に丙社を立ち上げたことに伴い、18年8月、首席代表として赴任した者である。

★ Yは、Xの妻であり、Xとの間には3人の子がいる。

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<Xの死亡、労災保険法の加入関係等について>

▼ 甲社は21年12月、上海に100パーセント出資の現地法人である乙社(有限公司)を設立し、22年4月から営業を開始した。Xは乙社の総経理に就任して、丙社の首席代表との兼務となった。

▼ Xは22年7月、上海において、急性心筋梗塞(以下「本件疾病」という)を発症して死亡した。

★ 甲社はXが上海で勤務するにあたり、海外派遣者としての特別加入の申請手続をとらず、承認を受けていなかった。

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<本件不支給決定、本件訴えの提起に至った経緯等について>

▼ Yは24年5月、C労基署長に対し、Xの死亡が業務上の死亡に当たるとして、遺族補償年金および葬祭料の支給請求をした。

▼ C労基署長は同年10月、Xの死亡は出張業務中に被った災害とは認められず、海外派遣者としての特別加入の承認も受けていなかったことから、労災保険法36条に基づく補償の対象にならないとしてYの上記各請求についていずれも不支給とする旨の決定(以下「本件不支給決定」という)をした。

▼ Yは本件不支給決定を不服として、同月、東京労働者災害補償保険審査官に対する審査請求を行ったところ、受理後3ヵ月を経過しても審査請求についての決定がなかったことから、25年2月、労災保険法38条2項に基づき、労働保険審査会に対して再審査請求を行った。

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