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#328 「仙台労働基準監督署長事件」仙台地裁
2013年1月23日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第328号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【仙台労働基準監督署長(以下、S労基署長)事件・仙台地裁判決】(2012年1月12日)
▽ <主な争点>
通院中断期間中の休業補償給付の不支給処分など
1.事件の概要は?
本件は、業務上の負傷をしたXがS労基署長に対し、労働者災害補償保険法(労災保険法)に基づき、病院への通院を中断した期間に係る休業補償給付の支給を請求したところ、同労基署長から当該請求に係る期間は療養を受けていないことを理由に休業補償給付を支給しない旨の処分を受けたため、国に対し、同処分の取消しを求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<Xについて>
★ X(昭和57年生)は、平成20年5月、M社に雇用され、マンション建物解体工事現場で解体作業に従事していた者である。
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<本件労災事故、本件通院中断期間、本件処分等について>
▼ Xは20年6月19日、仙台市青葉区のマンション解体現場において鉄くずを4トントラックに積み込む作業に従事中、誤ってトラックの荷台から転落し、頭部を地面に強打した(以下「本件労災事故」という)。
▼ 同日、Xは仙台市立病院を受診し、急性硬膜下血腫、頭部骨折等の診断を受けて同病院に入院し、その後、21年11月30日までの間に、20年7月16日から11月20日までの期間(以下「本件通院中断期間」という。なお、その間Xは就労して賃金を得ることはなく、医師の治療や薬剤の投与を受けることもなかった)を除き、病院に入通院をし、同年11月30日、A内科・脳神経内科クリニックにて治癒と判断された。
▼ Xは同年2月19日、S労基署長に対し、本件通院中断期間に係る休業補償給付の支給を請求したが(以下「本件申請」という)、同労基署長は同年5月25日付で、本件通院中断期間中は療養を受けていないことを理由として、休業補償給付を支給しない旨の処分(以下「本件処分」という)をした。なお、本件申請に際して提出された申請書の「診療担当者の証明」欄は空欄とされていた。
▼ Xはその後、労働保険審査請求、労働保険再審査請求をしたが、いずれも棄却されたため、22年11月29日、本件処分の取消しを求めて本件訴訟を提起した。
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<休業補償給付の支給要件および請求書に関する法令の定め等について>
★ 労災保険法12条の8は、第1項2号において、同法7条1項1号の定める業務災害(労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡)に関する保険給付の1つとして、休業補償給付を掲げた上、第2項において、休業補償給付について、労働基準法76条1項に規定する災害補償の事由(労働者が業務上の負傷または疾病による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合)が生じた場合に、補償を受けるべき労働者に対し、その請求に基づいて行う旨規定している。
★ 労災保険法14条1項本文は、「休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第四日目から支給するものとし、その額は、一日につき給付基礎日額の百分の六十に相当する額とする。」と定めている。
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