#205 「損保ジャパンほか事件」東京地裁
2008年4月2日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第205号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【損保ジャパン(以下、S社)ほか事件・東京地裁判決】(2006年9月13日)
▽ <主な争点>
人事考課制度の下での低位査定と損害賠償
1.事件の概要は?
本件は、S社に雇用されていたXが在職中に当時の上司Yの不当な考課により給与を減額されたなどとして、S社の債務不履行またはYの不法行為に基づき、給与減額分、賞与減額分、雇用保険減額分、基本年金減額分、慰謝料などの損害賠償請求および給与等減額分について付加金の支払いを求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<XおよびYについて>
★ X(昭和18年生)は昭和55年10月、S社(当時の商号は安田火災海上保険)に損害調査専門職員(損害調査部門の業務または営業活動に専ら従事する者)として入社し、平成9年に専門2級Bとなり、同年4月から埼玉西支店川越サービスセンター(SC)、10年10月から西東京支店立川SCで勤務し、14年12月末に退社した。
★ Yは、S社の従業員であり、9年4月から10年9月まで埼玉西支店川越SCにおけるXの上司であり、昇給賞与考課の上での第1次考課者であった。
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<S社における損害調査専門職の昇給賞与考課について>
★ S社における損害調査専門職の考課は、チャレンジ目標達成度判定と担当業務の達成状況を総合して行われる。チャレンジ目標達成度判定は、対象者が自ら設定した目標を達成したかどうかの判定であり、担当業務達成状況の評価項目は、S社が定めているものである。
★ チャレンジ目標達成度判定と担当業務の達成状況は、それぞれ100点満点であり、前者を40%、後者を60%として、総合点も100点満点で判定するが、第1次考課者(課支社長)と第2次考課者(部店長)とが絶対考課で行った後、地区本部において相対調整が行われていた。
★ 上記総合点によって、損害調査専門職の昇給賞与考課は、S・EH・H2(平均)・H1・A・Bの判定により行われ、Xの職位(専門職2級)では、H1以下の評価で給与が減額されることとなっていた。
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<Xの9年度、10年度、13年度の考課と給与の減額について>
▼ 9年度考課については、自己評価とYらの評価との間に相当の点数差があり、Xは同意しなかったが、Yらの最終評価が「A」ランクと判定され、Xの給与は月額約2万3000円の減額となった。
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