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#74 「日本オラクル事件」東京地裁

2005年2月9日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第74号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【日本オラクル(以下、N社)事件・東京地裁判決】(2003年11月18日)

▽ <主な争点>
早期退職制度適用と特別退職金の支払

1.事件の概要は?

本件は、N社が募集した早期退職制度に応募し、会社の承認のないまま退職した従業員XがN社に対し、制度適用を認めないのは不公正であると主張して、制度適用による特別退職金の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<N社およびXについて>

★ N社は、コンピュータソフトウェアの開発、システム構築等のコンピュータハードウェアの製造、販売等を業務内容とする会社である。

★ Xは平成9年にN社に雇用されて以来、一貫して購買業務に携わり、アジア太平洋地区の経営合理化を推進するプロジェクトの代表をつとめていた者である。

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<N社の早期退職制度(本件プログラム)について>

▼ 14年12月19日、N社は新しい経営戦略のために新体制を目指すとして、次の内容の早期退職制度(以下「本件プログラム」という)を公表した。

ア(適用対象者)
 15年1月31日時点で、満58歳未満の総合職および専任職

イ(適用除外)
 次の各場合には、本件プログラムの適用を除外する。
(1)本件プログラムの応募受付前にすでに関連会社への転籍が決定している場合
(2)本件プログラムの応募受付前にすでに退職届を提出している場合
(3)N社の判断により、本件早期退職制度の適用を認めない場合

ウ(本件プログラムの内容)
(1)原則として、退職日は15年1月31日とする。
(2)募集人員は150名とする。
(3)応募受付期間は、14年12月26日~15年1月15日とし、応募人員が予定人員に達した場合は、締切日を待たずに応募を締め切る。
(4)本件プログラムによる退職者には、N社は特別退職金※ を支払う。

★ Xが本件プログラムにより退職した場合の特別退職金は、1233万8890円となる。

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<Xの本件プログラムからの適用除外、特別退職金の不支給等について>

▼ 本件プログラムの公表前から、Xは上司であるYに対し、他社から転職の誘いが来ていることを告げていたが、YはN社内にとどまるようにXを強く説得した。

▼ 15年1月8日、XはN社に対し、本件プログラムの適用を申請した。しかし、同社はXに対し、同月17日、Xについて本件プログラムを適用しないとの通知をした。その理由は、XはN社にとって必要な人材であり、上記適用除外事由(3)に該当するというものであった。

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