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#414 「F社事件」東京地裁(再掲)

2016年6月22日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第414号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【F社事件・東京地裁判決】(2015年1月29日)

▽ <主な争点>
顧問弁護士による退職強要の違法行為の有無など

1.事件の概要は?

本件は、F社と雇用契約を締結し、営業開発本部長として勤務していたXが同社の顧問弁護士から不当に退職を強要され、退職せざるを得なくなったところ、当該退職強要が不法行為に当たり、当該不法行為によりXはF社から賃金を受領する権利を失い、また、精神的損害を被ったと主張し、同社に対し、不法行為に基づく損害賠償として、(1)1年分の賃金相当額2400万円および(2)慰謝料1000万円およびこれらに対する遅延損害金の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<F社およびXについて>

★ F社は、薬局の経営、医薬品・医薬部外品の販売等の事業を営む会社およびこれに相当する事業を営む外国会社の株式を所有することにより、当該会社の事業活動を支配、管理ならびにそれに附帯する業務を行うことを目的とする会社である。同社は、平成21年9月30日付で調剤薬局の経営を目的とし、北海道伊達市に本社を有するH社(以下「本件会社」という)の発行する全株式について、Xから譲渡を受け、本件会社の親会社になった。

★ Xは、21年9月30日当時、本件会社の発行済み全株式を保有し、かつ、同社の代表取締役であったところ、同日、F社に本件会社の全株式を譲渡した者である。その後、22年3月31日までは本件会社の代表取締役の任に就いていたが、同日付で退任し、本件会社の相談役に就任した。他方、同年10月、XはF社との間で雇用契約を締結し、営業開発本部長に就任し、その業務に従事した。

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<本件面談等について>

★ Xは本件会社が賃借人となり、Xの住居とすべく、計画期間を22年4月1日から24年3月31日までとして借り上げた札幌市所在のマンション(以下「本件マンション」という)において、妻ではなく、Xといわゆる愛人関係にあった女性を賃貸借契約書の「入居者一覧表」に「妻」として記載した上、実際にも当該女性を本件マンションに居住させていた。

▼ C弁護士(F社の顧問弁護士)は23年4月、F社から「本件会社のXに関する経理処理を調査している過程で不透明な処理が多々見つかっており、その中で会社資金流用の事実が明らかになった件について、Xから事情聴取をしてほしい」との依頼を受けた。

▼ 23年4月7日、XはC弁護士の事務所を訪問し、F社のA代表、B専務およびC弁護士と面談した(以下「本件面談」という)。

▼ C弁護士はXに対し、本件マンションを不正に借りているのではないかと尋ねた。これに対し、Xは本件マンションには妻ではない女性を賃貸借契約書に妻として記載した上で居住させていた旨述べた。

▼ C弁護士は本件マンションの件については、Xによる本件会社の資金流用に当たると述べ、他にも本件会社の経理処理に関し、Xに説明をしてもらわなければならないことが多くあるが、なお調査中であること、そのため、今後F社の調査に協力をしてほしいと求め、さらに同社を退職することと、本件会社の相談役を辞任することを求めた。

▼ Xは本件面談において、F社が用意していた所定の用紙に必要な事項を記載する方法により、退職届および本件会社の相談役の辞任届を作成し、F社に提出し、これをもって、4月7日付でF社を退職するとともに、本件会社の相談役を辞任した。

3.元社員Xの主な言い分は?

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