#44 「新日本通信事件」大阪地裁
2004年6月30日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第44号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【新日本通信(以下、S社)事件・大阪地裁判決】(1997年3月24日)
▽ <主な争点>
勤務地限定の場合の転勤命令
1.事件の概要は?
本件は、S社の仙台支店において採用されたXが、大阪本社への配置転換、および勤務成績不良を理由とする、その後の解雇が無効であるとして、解雇の無効の確認および仙台支店において勤務する地位を有することの確認、ならびに過去の未払賃金および将来の賃金等の支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<S社およびXについて>
★ S社は、電気通信事業、通信機器の販売および施工、管理等を業とし、大阪に本店を置く会社である。
★ Xは、平成元年7月、仙台勤務の正社員としてS社に雇用され、以後仙台
支店において勤務していた者である。
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<本件配転命令、本件解雇に至った経緯等について>
★ Xが入社した当時のS社においては、就業規則を作成していなかったところ、同社が身元保証を求めたことがキッカケとなって、就業規則が作成されていないことが従業員の間で問題となった。
▼ Xが中心となり、仙台支店の従業員とS社との間で交渉が持たれたが、Xらを納得させるには至らなかった。同年10月3日、従業員らによって、仙台労働基準監督署に対し、労働基準法違反の申告がされ、同月9日、上記労基署からS社に対し、改善命令が出された。
▼ 労基署からの改善命令が出された当日、S社は社風に合わないこと等を理由にXを解雇したが、Xがこれを不服として同社と交渉した結果、S社は同年11月解雇を撤回した。
▼ S社は同年12月、Xを新設された本社直轄のプロジェクト・リサーチ部仙台分室に配置転換した。同分室は、2年9月に仙台支店外へ事務所が移され、同年12月にはプロジェクト・リサーチ部仙台事務所と改称された。
▼ 5年4月、プロジェクト・リサーチ部仙台事務所が廃止されたことに伴い、S社はXに対し、大阪本社プロジェクト・リサーチ部への配置転換を命じた(以下「本件配転命令」という)。
▼ Xはこれに対し、勤務地は仙台の約束であったとして、配転には応じられないとの態度をとったが、S社は同年7月1日、同月8日までに転勤に応じなければ、同月20日付けでXを解雇する旨を通知した。
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