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#301 「X生命保険事件」東京地裁

2011年12月28日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第301号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【X生命保険(以下、X生命)事件・東京地裁決定】(2010年9月30日)

▽ <主な争点>
競業会社の取締役に就任することの差止め等

1.事件の概要は?

本件は、X生命が同社を退職する予定の執行役員であるAに対し、競業避止の合意に基づき、退職後2年間、X生命と競業する生命保険会社の取締役、執行役および執行役員(以下「取締役等」という)の地位に就任することならびに同社の営業部門の業務に従事することの差止めを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<X生命およびA等について>

★ X生命は、アメリカ合衆国に本店をおいている生命保険会社であり、特にがん保険および医療保険については、保険業界内においてトップシェアを占めている。

★ Aは、昭和58年4月、X生命に入社し、平成17年8月以降、同社の執行役員であったが、平成22年9月30日付で同社を退職し、同年10月1日付でY生命に就職することが予定されている者である。

★ Y生命は、X生命と同様、日本全国において医療保険やがん保険という第3分野の保険商品を販売している生命保険会社である。

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<Aに係る執行役員契約書、本件競業避止条項等について>

★ Aにかかる執行役員契約書では、契約期間は1年間とされ、競業避止義務として「Aは執行役員の地位および待遇に鑑み、在職中はもちろん、本執行役員契約終了後2年間、X生命の業務と競業または類似する業務を行う他社の役員、従業員にならないこと、および、第三者をして競業または類似する業務を行う他社を支援してはならないことに同意する」旨の規定(以下「本件競業避止条項」という)がある。

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