#545 「甲信用金庫事件」東京地裁
2021年9月8日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第545号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【甲信用金庫(以下、甲社)事件・東京地裁判決】(2019年10月29日)
▽ <主な争点>
パワハラ行為の認定と損害賠償請求など
1.事件の概要は?
本件は、甲社の従業員であったXが在籍当時、上司からいわゆるパワーハラスメントを継続して受けたことにより精神疾患を発症し、使用者としての職場環境配慮義務の違反があったと主張して、同社に対し、慰謝料および逸失利益等の損害賠償金1654万1096円およびこれに対する遅延損害金の支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<甲社およびXについて>
★ 甲社は、預金または定期積金の受け入れの業務等を目的とする信用金庫である。
★ Xは、平成23年4月、甲社と労働契約を締結後、乙支店に配属されて営業業務等に従事し、26年10月、丙支店の営業課に異動となった者である。
★ Aは、Xが丙支店において勤務していた当時、同支店の支店長を務めていた者である。
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<Xが退職に至った経緯等について>
▼ Xは27年5月頃、Aに対し、退職することを考えている旨伝えた。
▼ Xは同月、医院を受診し、傷病名を適応障害とし、「抑うつ、不安といった症状強く、通院治療と30日間の自宅療養必要」等の記載のある診断書を取得した。
▼ Xは同年6月のすべての勤務日について休暇を取得した。その後、7月に復職するに当たり、顧客対応業務ではなく甲社内部の業務(いわゆる内勤)を中心とする営業店支援センターへの異動となり、同センターの業務に従事した。
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