#40 「ガリバーインターナショナル事件」東京地裁(再掲)
2004年6月2日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第40号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【ガリバーインターナショナル(以下、G社)事件・東京地裁判決】(2003年12月12日)
▽ <主な争点>
従業員の重大な過失による損害賠償
1.事件の概要は?
本件は、G社がその経営する中古自動車販売店の店長であったXに対し、在職中に起きた重大な過失により、同社に損害を与えたとして、不法行為または債務不履行に基づく損害賠償を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<G社およびXについて>
★ G社は、中古車販売等を業とする会社である。
★ Xは、平成11年4月、G社に正社員として雇用され、同年7月から同社の直営店であるS店の店長として勤務していた者である。
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<Xの懲戒解雇に至った経緯等について>
▼ Xは店長会議等を通じ、近接するM店の店長で先輩格のYと親しくなり、Yに仕事上の相談をして助言を得たこともあって、同人に信頼感を抱くようになった。
▼ 12年9月頃、Yはサラ金や信販会社に対する多額の個人債務の返済に窮し、M店から正規の手続を経ないで中古車一台を購入した上、これを直ちに中古車買い取り業者に売り渡して換金し、さらに同年10月頃、上記車両の代金をG社に入金するため、再度M店から中古車一台(オデッセイ)を代金約305万円で購入した上で同様に換金していた。
▼ YはM店の営業成績が低迷し、ブロックマネージャーであったZから
店長降格を示唆されたこともあって、同年10月末日付けでG社を自主退職し、以後個人で中古車ブローカーをしていた。
▼ Yは上記オデッセイの代金を含む債務の返済に窮したため、在職中に親交のあったXを通じて中古車を入手した上、これを換金して債務の支払に充てようと考え、同年11月、Xに話をもちかけた。
▼ Yを通じて中古車を販売できればS店の営業成績も上がると考えたXは同年11月から13年2月にかけて、Yに対し、G社所有の中古車合計27台を順次引き渡した。Yはこれらの車両を中古車買い取り業者に販売して換金し、これを自己の債務の支払や遊興費に充てた上、Xに対する車両代金支払のため、新たにXから車両の引渡しを受けては換金するという自転車操業を続けた。
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