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#427 「甲観光事件」東京地裁

2016年12月28日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第427号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【甲観光(以下、甲社)事件・東京地裁判決】(2016年3月25日)

▽ <主な争点>
ホストクラブの「ホスト」の労働者性など

1.事件の概要は?

本件は、甲社経営のホストクラブに勤務していたXが、同社と雇用契約を締結していたとして、甲社に対し、未払賃金請求および旅行積立金の返還請求をしたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<甲社およびXについて>

★ 甲社は、飲食店の経営等を業とする会社であり、いわゆる「ホストクラブ」を経営している。同社の創業者Aは昭和46年、「クラブ丙」(以下「本件店舗」という)を開店したが、その後、昭和52年に設立した甲社が本件店舗を経営している。

★ Xは、平成16年頃から26年3月頃まで本件店舗で「ホスト」として勤務していた者である。

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<本件店舗の料金体系、ホストの報酬等について>

★ 本件店舗の料金体系は基本料金が約1万円であり、特に時間制限は設けられていない。別途飲食代金がかかり、この代金に応じてホストの指名料(約2,000円)が加算された。

★ ホストの報酬(給料明細上は「基本給」名目で支給)は売上のスライド制であり、最低保証は1日3,000円である。最初から客を呼べるホストは最低保証も高額になる(一例として100万円を売り上げる場合には1日2万4000円となる)。

★ ホストは本件店舗に場代を納める必要はないが、日曜・祝日に客からの指名が1件も取れず売上をあげることができなかった場合には指名罰金という名目で費用を徴収されていた。

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<ホストの勤務時間、内勤との違い、旅行積立金等について>

★ ホストは午後5時頃、私服で本件店舗に来て、当日分のおしぼりを作り、その後、午後7時までは自由行動となる。同伴出勤をする者は午後9時頃までに本件店舗に来るが、それ以外の者は午後7時頃に正装して本件店舗に来る。退店するのは午前零時から零時30分頃である。

★ ホストは源氏名を使用して接客する。また、昼間に別の仕事をすることは自由であり、仕事の際に着る服は自腹で用意している。指名客を確保するためのプレゼントも自腹である。客の売掛金回収もホストの責任で行う。

★ 本件店舗には内勤という固定給の従業員がいる。ホストと内勤の違いは、内勤が固定給であるのに対し、ホストは自分が営業し指名客を増やせば収入が増える仕組みになっている。内勤は家族手当、交通費の支給があり、社会保険料の控除もあるが、ホストにはいずれもない。

★ 旅行積立金は、平成16年頃から20年頃までホストから徴収され、2年に1度、慰安旅行に出かけていた。なお、慰安旅行を取りやめた当時、甲社は退店を申し出たホストには返金している。

3.ホストXの主な言い分は?

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