#515 「ジャパンレンタカー事件」津地裁(再々掲)
2020年7月8日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第515号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【ジャパンレンタカー(以下、J社)事件・津地裁判決】(2019年4月12日)
▽ <主な争点>
アルバイトに対する配転命令、勤務地限定の合意など
1.事件の概要は?
XはJ社との間で、反復継続して労働契約を更新してきており、同社の鈴鹿店に勤務してきたが、平成26年12月20日をもって雇止めされたことから、雇止めが合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないとして、労働者の地位確認およびそれに伴う賃金の支払などを求める訴訟を提起したところ、控訴審において、雇止め無効との判決が29年6月3日に確定した。J社はXに対し、同月26日付で就業場所を御園店とする旨の配転命令を出した。
本件は、Xが上記配転命令は無効であると主張して、J社に対し、御園店において就労する労働契約上の義務がないことの確認を求めるとともに、同社が社会保険の加入手続をとっていなかったことが債務不履行に当たるとして、J社に対しては債務不履行に基づき、代表者Aに対しては会社法429条1項に基づき、連帯して75万8746円余の支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<J社およびXについて>
★ J社は、一般乗用旅客自動車運送事業、自動車の貸付業、遊戯場の経営等を目的とする会社である。
★ Xは平成4年3月までにJ社との間で労働契約を締結して稼働を始め、平成20年頃までは6ヵ月に1回、同年以後は2ヵ月ごとに更新を繰り返して労働契約を継続してきた者である。なお、Xの勤務場所は、4年3月から津店、6年1月から名張店、同年3月からは鈴鹿店であった。
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<雇止めに関する判決の確定、本件配転命令等について>
▼ J社はXに対し、26年12月20日をもって雇止めする旨通知した、
▼ Xは27年5月、J社に対し、雇止めが合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないとして、(1)労働契約上の権利を有する地位にあることの確認およびそれに伴う賃金の支払を求めるとともに、(2)J社には社会保険の加入手続を取っていなかった不法行為責任があるとして、それに基づく損害の支払、(3)未払割増賃金の支払ならびに(4)付加金の支払を求める訴訟を提起したところ、控訴審において、(1)を認容し、(2)ないし(4)を一部認容する判決がなされ、同判決は29年6月3日に確定した。
▼ J社はXに対し、同年6月22日到達の書面により、就業場所を御園店として勤務するよう命じた(以下「本件配転命令」という)。なお、就労条件として、名駅(名古屋駅)南店への出社時刻を午前9時30分、名駅南店から御園店まで送迎を行うこととし、交通費については近鉄特急料金を含む全額を支給するものとされた。
▼ これに対し、Xは(1)御園店で就労する労働契約上の義務がないことの確認、(2)社会保険の加入手続をとっていなかったことについて債務不履行に基づく損害賠償請求、(3)J社の代表者Aに対し会社法429条1項に基づく請求を行った。
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<J社における就業規則の規定等について>
★ J社においては、契約社員、パートタイマー、アルバイトおよび嘱託従業員以外の全ての従業員に適用のある従業員就業規則と、契約社員、パートタイマー、アルバイトおよび嘱託従業員に適用のあるパートタイマー等就業規則があり、これらの就業規則には次の規定がある。
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